ノンピの実績から気配は感じ取れないが、“オン飲み疲れ”“オン飲み離れ”があるのも事実だ。そうした声を踏まえ、ノンピではオンライン飲み会ならではの醍醐味を味わってもらうためのコンサルティングサービスも検討する。
「お客さまから、リアルな飲み会は盛り上がらなかったけどオンラインは盛り上がったという話がありました。リアルな飲み会だと、常に同じメンバーと席順になりがちですが、Zoomで参加者をいくつかのグループに分けられるブレイクアウトルーム機能を使えばメンバーをシャッフルでき、他部署のメンバーと話せます」と上形さん。内定者とコミュニケーションをとる際、バーチャル背景にプロフィールを載せるとより会話が弾むといった声もあったそうだ。
「われわれもオンライン飲み会を何度も行ってきて、どういったことをすれば盛り上がるかというのが分かってきました。今後はお客さまに1人ずつスタッフを付け、飲み会が盛り上がる機能をアドバイスしたり、幹事のスクリプトを用意したりといったことを提案していきたいです」(上形さん)
確かに何となくスタートしてしまったオンライン飲み会は、静かでつらい時間が続くことも少なくない。誰かが喋ろうとしているのに、マイクがオンになっているとトークが中断してしまうこともあった。オンライン飲み会のノウハウを知った幹事の存在が、会の満足度を左右するというのは大事な知見といえるだろう。
コンサルティングサービスの他、21年にはオンライン飲み会に特化したアプリの開発を予定する。誰も喋らず静かになってしまわないように、ビンゴゲームやイントロクイズなどをオンラインでできたりBGMを流したり、Zoomのブレイクアウトルームのような機能を搭載することを考えているという。
アプリでは、映像を低フレームレートにして音声用の帯域を確保するといった通信速度が遅い環境でも快適に参加できるような仕組みや、ダイナミックレンジの広い楽器音を入れてもリミッターがかからないようにする仕組みなど、オンライン飲み会ならではの楽しさを増強できる場となるだろう。食事だけでなく場所もサポートしてくれるのは、幹事にとって感謝するしかないサービスとなりそうだ。
増え続ける注文数に対応するため、今後は生産ラインを増強する。忘年会シーズンを迎え、どう見込んでも自社のセントラルキッチンでは注文数の賄えない状況になり、今は外部の食品工場にOEMという形で協力してもらっている。上形さんは「飛行機の機内食を作っていた食品工場で、コロナ禍で遊休状態にある生産ラインを活用してもらっています。配送エリアが全国に広がっているので生産拠点も全国に設けていく予定です」と話す。
海外への配送も視野に入れる。実際に企業から問い合わせがあり、今後は高度な冷凍技術の導入やハラルの対応も検討する。地球の裏側にいるスタッフと同じ時間に同じ食事を食べて歓談できるのは、良いコミュニケーション機会になるだろう。
企業以外にも「祖母の米寿のお祝いを全国の親戚でしたい」「大学のOB・OG会で利用したい」などのオーダーがあるというnonpi foodbox。新しい時代に食事を豊かに楽しむサービスとして今後も可能性が広がりそうだ。
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