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GoogleのFitbit買収をEUが条件付きで承認 残るは豪政府当局の承認

» 2020年12月18日 11時07分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は12月17日(現地時間)、米Alphabet傘下のGoogleによる米Fitbitの買収を、条件付きで承認したと発表した。ユーザーの健康関連データを広告に流用しないことなどの確約(コミットメント)にGoogleが同意した。

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 Googleは昨年11月にFitbitを約21億ドルで買収すると発表し、EUは今年8月にこの買収に関する正式調査を開始した。

 この買収に関してはオーストラリアの規制当局も調査しており、その承認が下りれば買収は完了する見込みだ。

 欧州委員会のコミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏は発表文で「(Googleが確約に合意したことで)ウェアラブルとデジタルヘルス市場がオープンで競争力のあるものであり続けることが保証されたため、GoogleによるFitbitの買収を承認する。この確約は、Googleが収集したデータの広告目的での使い方、ウェアラブルの競合によるAndroid端末の相互運用性の保護方法、ユーザーが自分のデータを共有するかどうかの選択方法を決定できる」と語った。

 Googleは向こう10年間、競争上の懸念をめぐる欧州委員会の対策を受け入れることに合意した。委員会は、さらに10年対策を延長する権利を持つ。

 この対策では、GoogleはFitbitのユーザーデータをGoogleの他のデータとは別に保存し、Googleのターゲティング広告には流用しない。また、ユーザーはFitbitをGoogleアカウントとは別のFitbitアカウントで利用し続けられる。

 Googleは米CNBCなどに対し、「この買収により、ウェアラブル端末の革新が促進され、人々のより健康的な生活に役立てられると確信している。(中略)欧州委員会が本日承認した一連の法的拘束力のある確約を含め、規制当局と建設的に協力して懸念を解決した」という声明文を送った。

 Fitbitは2007年創業のサンフランシスコに拠点を置く上場企業。独自OSのスマートウォッチやフィットネストラッカーを販売している。買収発表時、Googleは「Fitbitのチームと緊密に連携し、最高のAI、ソフトウェア、ハードウェアを統合することで、ウェアラブルの革新を促進し、世界中の人々の役に立つ製品を構築していく」としていた。

 Googleはスマートウォッチ用OSとして独自の「Wear OS」を提供しているが、まだオリジナルのスマートウォッチは発売していない。同社は昨年1月、米ライフスタイルブランドのFossil Groupのスマートウォッチ関連技術の知的財産と研究開発部門の一部の人材を4000万ドルで買収している。

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