2020年はコロナ禍で大変な年だった。どの業界も大変だったろうけど、カメラ界も例に漏れず。何しろ、年初から「CP+2020中止」のニュースが駆け巡ったのである。
今思えば、まだ「3密」という標語ができる前、世間の話題は横浜に寄港したダイヤモンドプリンセス号が中心だった2月14日に中止を決定したのは英断だったと思う。
不特定多数の来場者が1つのカメラを触ったりファインダーをのぞいたりする場なので、リスクが大きいと判断したのだろう。
その後、新型コロナウイルスの猛威は夏場も大きく衰えることはなく、各イベントは中止になり、カメラの売り上げも大きく下がり、なんとも大変な1年だったなあ……とネガティブな話で始めざるを得ない年だったのだな。
それを踏まえて2021年はどうなるか。
まずは「CP+2021」だが、2020年秋に一旦はオンラインとリアルの両方で開催と発表したものの、感染者数増加を受けて早々にリアルイベントは断念。オンラインのみでの開催となった。
残念だが仕方ない。
さらに1月から「OMデジタルソリューションズ」が本格稼働する。オリンパスが映像事業を切り離し、OMデジタルソリューションズという新会社となって独立したのだ。「OLYMPUS」のロゴは(少なくとも当面は)そのまま使い続けられるが、2021年最初のトピックといえるだろう。
2021年の動きが気になるのがソニーだ。
主力モデルの「α7III」が発売されてから3年経つからである。そろそろ「α7IV」が期待される時期だ。
気になるのが2020年秋に出た「α7C」の存在。
α6xxxライクな上面フラットデザインで小型化を図り、背面モニターもバリアングルになった。
これがα7IIIより少し安い価格で小型モデルとして登場したことを考えると、フルサイズミラーレス機のエントリーモデルはα7Cに任せ、α7IVはもうちょっと上のランクを狙って出てくる可能性がある。
すでに噂はいくつか出ているが、EVFとボディ内手ブレ補正の性能を上げつつ、背面モニターはチルト式を維持してくれるといいなあ、というのは個人的な希望。
2020年に一番驚かせてくれたのがキヤノンだった。「EOSR5/R6」が予想以上の高性能だったのである。
初代EOS Rは他社の同等製品に比べて及ばないところが多数あったのでどうするのかなという不安を一気に吹き飛ばしたのだ。
R5/R6はフルサイズミラーレス一眼として多くの面で注目すべきなのだが、特に目立ったのは2点。
1つはキヤノン初のボディ内手ブレ補正が予想以上に強力だったこと。レンズと合わせて最高で8段分っていうのだからすごい。
実際に使ってみても、確かに手ブレ補正の効きは良い。
もう1つはAF性能。
めちゃ暗いところでもAFがきちんと仕事してくれるし、とにかく賢くなった。犬猫といった一般的な動物瞳AFに加えて鳥にも対応。瞳が見つからなくても頭部である程度認識してくれる。
その上、人物と動物が排他的ではなく、例えば「動物優先」モードにしていても人物がいればそっちにちゃんと合う。モード切り替えなしで人と犬と猫と鳥に合うのだ。これは驚きの賢さ。
賢いAFって大事。
さらに連写性能も高く、今後のEOS Rのベースとなるモデルが完成したのだ。
キヤノンはレンズにも注目したい。600mmと800mmの軽くて長くてF11固定という思い切ったレンズや、85mm F2というポートレート向けのレンズをハーフマクロ仕様で出すなど一眼レフ時代の常識にとらわれないレンズを用意してきたのだ。
2021年はEOS R5/R6の基幹部分を受け継いだ「EOS R/RP」の後継機が出てもいい時期かなと思う。少なくともボディ内手ブレ補正を搭載したモデルへの置き換えは必要だろう。
2020年、ニコンは主力ミラーレス機であるZシリーズを3台発売している。エントリーモデルの「Z 5」と主力機の後継モデル「Z 6 II」と「Z 7II」だ。2021年は引き続きこの3モデルで行くだろう。
Z 6IIとZ 7IIは順当に進化しててカメラとしてすごくまとまっていてよい。特にファインダーの見えがさすがなのだけど、コロナ禍もあって実際にのぞいて確かめてみる機会がグッと減っているだけにアピールしづらくて大変ではあるよなとは思う。
2021年はレンズラインアップを揃えてくるだろうけど、本体がどうなるのかはちょっと分からない。Z 50で登場した、APS-Cサイズセンサー搭載のZシリーズを生かすのなら、上位モデルがほしいところかなという気はする。
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