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» 2021年01月20日 07時00分 公開

デジカメ黎明期をけん引したオリンパス 浮いたり沈んだりの25年史荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/3 ページ)

[荻窪圭,ITmedia]

オリンパスといえば防水、の時代が始まるが

 その後のオリンパスは順当な進化を遂げたり、高倍率ズーム機をいち早く手掛けたり、逆に黒歴史と言いたくなるような製品を出したりしつつ、ヒットシリーズが誕生する。

 オリンパスが最初に「フィルムカメラ時代のブランド」を持ち出した「μ」だ。90年代に人気を博したフィルムコンパクト「μシリーズ」の特徴は、スライド式レンズバリアと生活防水。

 それをコンパクトデジカメで実現したのだ。それが「μ-10 DIGITAL」。デジタルカメラは水に弱い、と思われていた頃(まあ確かに弱かったのだ)、生活防水を実現したのはヒット。

 派生モデルとなった「μ mini DIGITAL」は斬新なデザインで、角が丸く多少ぶつけても外装が凹むだけで意外に壊れにくくしかも生活防水なので、子供に持たせるのに最適であり、小学生の甥っ子になんかのお祝いでプレゼントしたことがある。

左が初代となる「μ-10 DIGITAL」。生活防水が斬新だった。右は派生モデルの「μ mini DIGITAL」

 オリンパスのカメラがヒットするのは、何か「オリンパスならではのひと味」を加えた時で、各社乱立してデジカメ市場が混沌とする中「生活防水」という分かりやすい特徴は強力だった。スライド式レンズバリアと生活防水だ。

 これが防塵防滴防水耐衝撃の今のToughシリーズに繋がっていく。唯一生き残ったコンパクトデジカメで、アウトドア用カメラとしてトップといっていい地位を築いた。

2017年発売のTOUGHシリーズ「TG-5」。水没上等のタフカメラで最新モデルは「TG-6」。オリンパスで唯一生き残ったコンパクトデジカメだ

 だがしかし、記録メディアでちょっと失敗する。オリンパスは当初「スマートメディア」を採用していた。その後SDカードが登場し、今までスマートメディア陣営だったメーカーも徐々にSDカードに移行していく中、最後まで残った富士フイルムとオリンパスがなんと「xDピクチャーカード」なる新しいメディアを採用したのである。

左上がおなじみSDカード、右上がスマートメディア(初期はSSFDCといった)、下が短命に終わったxDピクチャーカード。移行期はxDピクチャーカードとSDカードの兼用スロットが用意された

 これには「えっ?」となった記憶がある。カメラの記録メディアがSDカードに収束していきそうな中、独自規格が長く続くとは思えなかったのだ。結局、10年持たなかった。

 そしてxDピクチャーカードが終焉を迎えた頃、iPhoneが伸びてくるわけで、SDカードに切り替えた後、いくつか名作は出したものの(Stylus 1なんかはかなり良かったのだが)、アウトドアカメラのTOUGHシリーズを残してシュリンクしていったわけである。

2010年代はPENとOM-Dの時代に

 さて、話は変わって「デジタル一眼」。一眼レフを持っている各社はこぞってそのデジタル版を開発した。ニコンはFマウントの「Dシリーズ」、キヤノンはEFマウントの「EOS Digitalシリーズ」を展開し、ペンタックスは2003年に「*ist D」を、ミノルタは2004年に「α-7 DIGITAL」を投入した。

 そしてオリンパスはというと、「フォーサーズ」システムという他社のデジタル一眼レフよりひとまわり小さなセンサーを採用した新しいマウントを持ってきたのだ(E-1。2003年発売)。

 オリンパスの一眼レフといえば「OM」シリーズがあったんじゃないの? と思う人がいるかもしれない。でもそのデジタル化はなされなかった。

 オリンパスが最小最軽量の一眼レフとしてOM-1を発売して大ヒットとなったのは1972年のこと。

 のちにOM-4まで進化したが、これらは全てマニュアルフォーカス機。1986年にAF対応のOM707を発売したが成功せず、オートフォーカスの波に乗りそびれて止まってしまったのだ。事実上1980年代で終了してたわけで、それをデジタル化してもAFレンズがないのである。

フィルム時代を代表する2機種。右が初代OMだった「M-1」(名称にクレームが入り、OM-1と改称する。これはその前のもの。1972年)。左は「OLYMPUS PEN EED」(1967年。PENの後期モデル)

 だからデジタル一眼レフを開発するにあたって、過去の資産がない分、新しいデジタル専用マウントに移行することができ、思い切って小型軽量を実現できる4/3型へ舵を切ったのだ。

 さすがにフォーサーズシステムのデジタル一眼レフはヒットとはいえなかったが、これがのちにミラーレス一眼の「マイクロフォーサーズ」として結実する。

 パナソニックと共同で開発したマイクロフォーサーズは、世界初のミラーレス一眼こそパナソニックの「G1」だったものの、その次に登場したオリンパスの「PEN」は大ヒットとなったのだ(2009年発売)。

 PENが優れていたのはその初代モデルからオリンパスの象徴ともなる「ボディ内手ブレ補正」を搭載していたこと。今や当たり前になりつつあるミラーレス一眼へのボディ内手ブレ補正搭載はオリンパスから始まったのである。

3代目となる「E-P5」(2013年)。その後PENの主流は廉価なPLシリーズとなっていく

 その名前の元となったOLYMPUS PENは1959年に誕生した超小型カメラ。このシリーズは基本的にレンズ一体型だが、1966年にはレンズ交換式の一眼レフの「PEN F」も出ている。

 フィルム時代のPENは1981年のEFを最後に姿を消す。

 でもその名は歴史にポジティブなイメージで刻み込まれていたので、オリンパスが最初のミラーレス一眼に「PEN」と名付けたのは慧眼だったと思う。伝統があり(でも、かなり古いので実物はある程度以上の年齢層じゃないとピンとこないのがまたほどよい)、シンプルな名前だ。

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