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» 2021年01月20日 07時00分 公開

デジカメ黎明期をけん引したオリンパス 浮いたり沈んだりの25年史荻窪圭のデジカメレビュープラス(3/3 ページ)

[荻窪圭,ITmedia]
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 初代モデルとなった「PEN E-P1」はそのヒットを背景にライト版のPLやミニ版のPMと手を広げる。一時期は、日本中の行楽地でPENを首からぶら下げた観光客を大勢見たほどだったが、上位モデルはEVF搭載の趣味性が強いPEN-F(2016年)を最後に出ていない。

「PEN-F」(2016年)。EVFを搭載した唯一のPENだった

 他社からもミラーレス一眼が続々と登場して優位性が減じたことと、PENが捕まえたユーザー層がその上位モデルへなかなか行かなかったこと、そして新たにPENが捕まえようとしていたユーザー層をスマートフォンがさらったことなどが要因かと思う。

 特に最後の理由はPENのライトモデルPLのみならず、各社ともエントリー向けの廉価なミラーレス一眼が伸び悩んでいることから想像できる。

 PENに変わって主力の座を掴んだのが2012年に登場した初代OM-D。PENの成功に倣ったのか、こちらもかつての名機OMシリーズの名を介し、デザインもOM-1系統のファインダー部がトンがった往年のスタイルを復活させた。EVFを搭載したデザインだ。初代モデルの「E-M5」は、オリンパス側は否定したけれども、フィルムカメラのOMシリーズがOM-4で終わっていたことから、それを受け継ぐモデルとして「5」の数字がつけられたんだと思う。

 こちらは翌2013年の「E-M1」でさらにランクアップしてハイアマチュアやプロにも受け入れられる性能を手に入れる。

 フルサイズセンサーやAPS-Cサイズセンサーに比べると被写界深度はやや深めで高感度にも強くなかったが、その分ボディやレンズをコンパクトに設計できるためシステムの小型化を図った。さらに「防塵防滴」に代表されるタフさと超強力なボディ内手ブレ補正がもたらす高い現場対応力が評価されたのだ。

右が初代OM-Dの「E-M5」。往年のOMシリーズに近かった。左は「E-M1 Mark II」(現行機のMark IIIとほぼ同じ)。かなり大きくなったのが分かる

 わたしも「これは予想以上に実用性が高い」と感じて購入したのである。そして、数年の間ではあるが、オリンパスはミラーレス一眼の代名詞となったわけだ。

OMデジタルソリューションになってどう生き延びる?

 こうしてみると、オリンパスのデジカメには結構波があったことが見てとれる。黎明期を引っ張った時代は上昇し、xDピクチャーカードの時代はちょっと落ちたけど、生活防水をベースにしたμシリーズで持ち直し、コンパクトデジカメ全体が下降線を辿り始めると、いち早くミラーレス一眼に注力してPENシリーズが大ヒットをしてOM-Dが人気を博した。

 でも今はカメラ業界全体がミラーレス一眼にシフトをはじめ、上からはα7をはじめとする大きなセンサーのミラーレス一眼、下からはスマートフォンに挟まれる格好になってしまったのである。

 今や、ミラーレス一眼の盟主はソニーのα7だ。

 しかも、コロナ禍も手伝い、デジタル一眼の市場自体が昔とは違ってきており、今後も市場が急に大きくなることはなさそうだ。そんな時期にオリンパス本体から切り離されたOMデジタルソリューションはどうなっていくか。

水滴まできれいに描写してくれた雨のキンクロハジロ。「E-M1 Mark III 」と「M.ZUIKO ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」で撮影。2020年は望遠系に力を入れていた

 オンライン開催になった2021年の「CP+」で何か示されるのかさっぱり分からないが、とりあえず「小型軽量」への回帰はしてほしいと思ってる。

 オリンパスは小型軽量をうたいながら、ボディはプロのニーズに応えられるよういつの間にか大きく重くなり、レンズもクオリティは素晴らしくディテールまで描写してくれるが性能追求を優先して大きく重いものが増えてしまった。

 まあミラーレス一眼界全体がそんな感じではあったし、オリンパス的には望遠に強いマイクロフォーサーズの強みをぐっと押し出すことはできたのだけど、2021年はそろそろ揺り戻しがきてコンパクトなカメラとレンズが必要とされる気がしてて、オリンパスもタフで手ブレ補正が超強力だけど精悍で小さいカメラを作る頃なんじゃなかろうか。

 ともあれ新しい船出にエールを送りたい。

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