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「平成」デジカメ栄枯盛衰史荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/3 ページ)

» 2019年05月01日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 せっかく改元の機会なのだから、昔話でもしようかと思ってしまったのである。

 カシオが元祖コンデジともいえる「QV-10」を出したのが平成6年なんだけど、話はもうちょっと遡って1992年から。平成4年ですな。

 この年、何があったか。コダックが「PhotoCD」を始めたのである。

平成4年(1992年):PhotoCD

 PhotoCD……これ知ってる人はかなり昔から写真のデジタル化に手を出してた人くらいじゃなかろうか。

平成4〜6年のPhotoCD。インデックスがプリントされ、開けるとゴールドのCDが

 現像したフィルムをCDに焼いてくれるサービス。

 CD-ROM1枚につき写真100枚。

 値段は覚えてないけど、1枚フルに写真を詰め込むと1万円くらいかかったんじゃなかろうか。「高いなあ」と思った記憶ある。

 これがスゴかったのが、写真の解像度。サムネイルサイズからプリント用まで写真1枚につき5種類の解像度で記録してくれたんだが、最高解像度が「3072×2048ピクセル」、画素数でいうと約600万画素あったのだ。

 Macintoshは早くからPhotoCDフォーマットに対応していたので使ってみたMacユーザーは多かったはず。

 だから今見てもまったく遜色ないクオリティなのである……まあ銀塩フィルムの時代は「レンズとフィルム」でクオリティはかなり決まるわけで、その頃はコンパクトカメラで観光写真を撮るくらいだったので、単焦点のコンパクトカメラ+安いネガフィルムなので今のiPhoneの方がキレイなくらいだけど。

フォトCDに残っていたストーンヘンジ(イギリスの遺跡)の写真(3072×2048ピクセル)

 高価なフィルムスキャナがなくても、誰でもデジタル写真を楽しめたのだ。現像したフィルムをCDに焼くサービスの元祖ですな。

 まあ、当時は「1円プリント」なんてのが流行ってた時代なので、PhotoCDの割高感もあってあまり普及はしなかったけど。

平成6年(1994年)、デジカメ黎明期の始まり

 1994年、最初のコンシューマー向けデジタルカメラ(といっていいんじゃないかと思う)が意外なところから登場する。

 アップルの「QuickTake100」だ。

 これがまた「内蔵メモリ1MB」という代物で、撮影枚数は少ないし、モニターがないのでMacにつながなきゃ画像を見られないしで、レビュー書くときけっこう辛かった記憶があるのだが、それでもものすごく未来を感じさせてくれた。

 一応35万画素だったけど、実用的なのは320×240ピクセルだったかな。

当時レビュー用に作成したスクリーンショット。ケーブルでカメラ内の画像に直接アクセスできるのはアップルらしいシームレスさだったが画質はこの通り

 ちなみにこれを作ったのはコダック。コダックも早くからコンパクトデジカメを出してたし、デュアルレンズカメラなんていう「超広角+ズームレンズ」という二眼のカメラも出したし、キヤノン最初のデジタル一眼レフはデジタル部分をコダックが手がけたりして、デジタルカメラ黎明期(れいめいき)を引っ張ったメーカーの一つだったのだが、2012年、残念ながら連邦倒産法第11章を申請して事実上終了する。

 翌1995年、カシオから画期的なカメラが登場する。「QV-10」である。

 画質は悪かったが「液晶モニター搭載」「レンズ部が回転して自撮りもok」という画期的すぎる仕様が衝撃的で、もともと「小型液晶モニターを生かす機器」という発想から出たモノであったにしろ、登場したときの衝撃は忘れられない。

左がQV-10(1995年)、右が「QuickTake150」(QuickTake100のマイナーチェンジ版でこちらも1995年)。黎明期の2台だ

 平成8年(1996年)になると、各社からどんどんコンパクトデジカメが出てくる。

 最初は35万画素。画像の縦横比は4:3。35mmフィルムが3:2だったのにデジタルカメラが4:3でスタートしたのは、当時のテレビの縦横比がそうだったからだ。PCのディスプレイも4:3だった。

 それは今でも続いている。4:3にこだわる必要はないと思うのだけど(もうほとんどのテレビやディスプレイは16:9……あるいはそれに近いワイド画面)になってるのに。

 ここからが早かった。富士フイルムとオリンパスを筆頭に、ソニー、ニコン、キヤノン、コダック、サンヨー、エプソン、京セラとどんどん参入。NECも「Picona」って縦型のカメラを出してたくらい。

 この頃は面白かった。

 画質は非常に……メーカーごとのバラツキが多くてかなりアレなのも多かったし、当初は1枚撮るのに10秒くらいかかったし(データの書き込みに時間がかかったのだ)、バッテリーは持たないし(撮影しようと家を出て1時間後にはバッテリーが切れて帰宅するとかあったし)、でも黎明期ならではの妙なエネルギーがあったのだ。

 まあだいたい、デジタルガジェットが新ジャンルを見つけたときってそんな感じだよね、今でも。

 特に良かったのがデザイン。

 フィルムや光学ファインダーという呪縛から解き放たれ、ユニークな製品がどんどん出てきたのだ。

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