米Googleは1月19日(現地時間)、Webブラウザ「Chrome」の安定版となる「Chrome 88」(バージョン88.0.4324.96)をWindows、Mac、Linux向けに公開した。拡張機能の新たな仕様「Manifest V3」を導入し、セキュリティやパフォーマンスなどを向上させたとしている。
新たな仕様では拡張機能の全てのソースコードをパッケージにまとめて「Chrome Webストア」に提出する必要がある。このため、Google側の審査を回避して悪意のあるコードを実装するのは困難になる。
これまでは拡張機能のソースコードを遠隔サーバから提供(ホスト)できていたが、Manifest V3ではこのリモートホストを禁止した。従来は拡張機能のパッケージ自体をアップデートしなくても不具合の修正や機能追加ができたが、悪意のある変更も可能だったためという。
セキュリティ面ではその他、Chrome上に保存しているパスワードのうち、脆弱(ぜいじゃく)なものを一覧表示し、まとめて再設定する機能も追加した。
拡張機能のインストール時に、ユーザー側で提供するデータを制御できるようにする仕組みも新たに取り入れる。これにより、拡張機能がユーザーの意に沿わないデータを取得することを防止できるとしている。
パフォーマンス面では、拡張機能をバックグラウンドで動作させる「サービスワーカー」という仕組みを新たに導入。サービスワーカーは、WebブラウザがWebページとは別にバックグラウンドでコードを実行するためのスクリプトだ。Android OSなどで動くネイティブアプリで、バックグラウンド同期やプッシュ通知を実現している仕組みをWebブラウザ上でも実現するためのもの。
これまで、拡張機能のバックグラウンド動作には非表示のページ(バックグラウンドページ)を開いておく必要があったが、サービスワーカーを使うとバックグラウンドページが不要になる。バックグラウンドページのように裏で常時起動せず、必要に応じて起動や終了ができることからWebブラウザのパフォーマンス改善につながるとしている。
ブラウザのアップデートや新機能の追加は、今後数日から数週間のうちに段階的に行われる予定。
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