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ポケモンGOで「レベル50」に到達する人、相次ぐ それでも「複雑」な理由

» 2021年01月30日 16時18分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 例えばマラソン大会の途中、審判のミスでランナー全員がスタート地点からやり直すことになったとしよう。あるランナーが抗議するとゴールが認められたが、他のランナーが抗議すると審判は口をつぐんだまま。そんな後味の悪いトラブルがスマートフォンゲーム「Pokemon GO」(ポケモンGO)で起きた。

4年越しのレベル上限解放を伝えるプロモーションビデオ(公式動画より)

 ポケモンGOは2020年12月のアップデートでトレーナーレベル(TL)の上限を50に引き上げた。16年のサービス開始後、初のレベル上限開放に世界中の“ガチ勢”(熱意あるプレイヤーたち)が色めき立った。

 同時にTL41以降は経験値の他にいくつかの課題をこなさないと次のレベルに上がれない仕様になった。そうしないと過去4年にわたって経験値を積み重ねてきた一部のプレイヤーは上限開放と同時にTL50になってしまう。ポケモンGOを運営する米Nianticは「レベル上げが今まで以上に楽しいものになるように調整し直した」と説明した。

 “世界最速TL50”をかけたレースが始まった。

突然のリセット

画像はレベル47に上がるための課題

 課題はレベルごとに複数あり、中には日数が掛かるものも存在する。時間や労力、あらゆるコストを惜しまず最短距離で駆け抜けた世界のトッププレイヤーたちは1月25日の朝、週間リワード(前週に歩いた距離に応じてもらえる報酬)を受け取ると同時にTL48になり、TL49に上がるための課題に取り組み始めた。

 最も早いと目されていたのは、ニュージーランドやオーストラリア、そして日本などのアジア勢だった。時差の関係でゲーム内では欧米よりも早く日付が変わる。

 しかし日本時間の25日午後1時30分、課題の進捗状況を示す画面が急にリセットされ、すべての進行状況が「0」に戻ってしまった。驚いたプレイヤーたちはNianticに問い合わせを始める。

 TL49に上がる課題には「キラポケモンを50匹手に入れる」「ギフトを500個贈る」など、フレンドの協力を得なければ進めないものもある。ギフトは1日に1回しかやり取りできない仕様のため、やり直すと1日余計にかかり、再びフレンドにも手間をかけさせてしまう。

 キラポケモンを入手するため、キラポケモンになりやすい4年前のポケモンを交換で放出した人もいる。かけていたコストは時間やお金だけではなかった。

キラフレンドとの交換はキラポケモンを必ず入手できるが、なかなかキラフレンドにはならない

 そんな中、ある海外のプレイヤーが真っ先にTL49に上がったという話が飛び込んでくる。彼らはTwitterでNianticに問い合わせ、トラブルのお詫びとしてTL49になる課題をクリアしたことになったという。1人は現地で有名なインフルエンサーだったため、Twitter上では「優遇されたのはないか」といった指摘も出た。

 SNSなどを通じてこの話が広まると、世界中のプレイヤーが問い合わせを始める。しかし、Nianticの対応はまちまち。ある人はTL49に上がれたが、ある人はトラブル発生前の状態に戻った。返事が届かない人も多かった。問い合わせた窓口や担当者によっても対応が異なり、プレイヤーの間では「問い合わせガチャ」という言葉も生まれた。

「うれしさよりも複雑な気持ち」

 数日が経ち、28日までに最初の2人をはじめ、世界中でTL50に到達した人が出てきた。日本でも複数のプレイヤーがSNSなどでTL50到達を報告しているが、「うれしさよりも複雑な気持ちでいっぱい」「騒動はとても残念」といった声も多い。

Nianticの不具合報告

 Nianticは、公式サイトの「確認されている不具合」ページで1月26日付でトラブルを報告。影響を受けたプレイヤーにはアプリ内フォームから問い合わせることを勧めている。窓口によって対応に差が生じたこと、ゲーム内で経緯などを告知する可能性についてNianticに問い合わせているが、返事はまだない。

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