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InDesignの出力環境を支えたプリプレスへのサポートと日本語フォントアーキテクチャの進化 InDesign日本語版発売20周年(後編)(1/2 ページ)

» 2021年02月17日 11時58分 公開
[菊池美範ITmedia]

 2月6日に開催された「InDesign 20周年記念オンラインイベント」についてのレポート(前編)に続き、イベントに先立って行った、アドビのフィールドプロダクトマネージャーである岩本崇氏と、アドビ Japan R&D 日本語タイポグラフィ、シニアマネージャーの山本太郎氏へのインタビューを後編としてお届けする。

  • 岩本崇氏(アドビ フィールドプロダクトマネージャー)
  • 山本太郎氏(アドビ Japan R&D、日本語タイポグラフィ、シニアマネージャー)
  • 聞き手:菊池美範

――InDesign以前に写植指定が主流だった時代、出力センターの現場にいらした岩本さんは、どんなご苦労がありましたか?

岩本 当時はプリントしたものがそのまま出力できるのが当然、という時代ではありませんでした。場合によってはエラーで出力されないこともあって、夜型のデザイナーさんが多い対応でデータをお預かりしてから、なんとか苦労して朝までに出力することもありましたね(笑)。

 各出力センターで私が出力現場にいたときはページものの担当だったんですよ。PageMakerやQuark XPressのデータは“面付け”という作業が必要で、さらに出力エラーで大変だったことを覚えています。DTPの出力が不安定だった時代があったんです。作ったデータが出力できなければ意味がないですよね。それでも現場の中でデータからフィルムに出力する過程で安定して、高速になっていく進歩を自分の目で見ることができました。

――InDesign開発チームのご苦労や開発の経緯を知る岩本さんにとって、今回20年の歴史を振り返ってどのように感じていますか?

岩本 1.0のときはほんとにキツかったですね……。それに比べると2.0はずいぶん“いい子”になりました。CSでInDesignがパッケージ内に統合された展開になった頃、私はAdobeに入社したんですよ。

 ページレイアウトの役目は集版をするという役目もあるんですが、グラフィックや表組みのデータを統合するためにInDesignを活用されるユーザーの方も増えてきました。ページもの以外でもIllustratorやPhoshopのデータを統合するために使われたり、テクニカルドキュメントの世界ではエクセルデータを表組みにするのに活用されたりしていましたね。この段階で認知が上がって、さらにCS3でMacintoshのIntelプロセッサ化によって使い勝手と出力の安定度も上がりました。

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