表示も含め、日本のコンピュータでは「フォント」の問題がついて回った。アルファベット+数字とは違い、非常にバリエーションが多くて今でも課題はあるくらいだ。そんな中では、メーカーやOSが選んだフォントをそのまま目にしたり、使ったりする機会の方が多い。「デフォルトのフォントが決まっている」というのは、ある意味、コンピュータで文字を読む上での宿命であり、印刷物と大きく異なる点でもある。
表示の方はWebフォントの普及に期待するとして、書く方はどうだろう? すでに大量のフォントがあるが、フォントをとっかえひっかえして文書を作る人は少ないだろう。チラシのように目立たせたいものを作るときならともかく、ビジネス文書などでは、デフォルト設定のフォントのままで書いている人の方が多いのではないか。
正直、Wordにしろ各種エディタにしろ、標準設定されているフォントが「書いていて気持ちいいフォントなのか」というと、ちょっと違うと思っている。以下をご覧いただきたい。
一番上が、昔からずっと使われている「MS 明朝」、次が最近の標準設定である「游明朝」、次がmacOSではおなじみの「ヒラギノ明朝」、最後が後述する「BIZ UD明朝」である。こうやってみると、かなり見栄えが違うのが分かるだろう。
昔とは異なり、今はディスプレイの解像度が高くなった。フォントの描画に使えるドット数も増え、表現力は上がっている。とはいえ、ディスプレイ上で文字を読む場合、細身のものは不利な傾向にある。テロップやポップなどで大きく拡大して使うならともかく、一般的な大きさだと弱々しく、読みにくく感じるからだ。単純な視認性でいえば、明朝体よりゴシック体の方が有利でもある。ユーザーインタフェース周りがゴシックであるのはそれなりの理由がある。
少し太め・大ぶりなものの方が見やすく、ストレスが少ないという意味では、「ヒラギノ明朝」はかなりいい。「游明朝」も細身ではあるが見やすさは悪くない。MS明朝をやめるだけでだいぶマシになるのが分かるだろう。
一方、もっとお勧めなフォントがある。それが、モリサワの「BIZ UDフォント」だ。これは画面上の見やすさを重視した「ユニバーサルデザイン」を標榜(ひょうぼう)するフォントである。「BIZ UD明朝」が、筆者最近のお気に入りだ。読みやすく、フォントの形も良く、書いていて気持ちいい。文章、特に長文を書くためのフォントとしてはかなり向いていると思っている。
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