Digital Research GEM(写真2):1985年2月にリリースされた、DOSの上で動作するVDI(Virtual Desktop Interface)。Digital Researchはこの時期、MS-DOSへの巻き返し案として、CCP/M-86(Concurrent CP/M-86)というマルチタスク可能なCP/M-86をリリースしており、この上で動くPC-MODEというMS-DOS互換の環境を利用して複数のMS-DOSアプリケーションが同時に稼働可能になっていた。これを進化させたConcurrent DOS 4.1のGUIとして投入されたのがGEMという形だ。ただ最後までDOSの上での環境でしかなく、制約がかなり多かった。
Borland SideKick(写真4):厳密にはこれはGUIツールでもなければマルチタスクツールでもないのだが、当時の状況だとメモリ制限が厳しすぎて本格的なマルチタスクなど不可能というのが正直なところだった。そこでできることを「電卓・メモ帳・予定表・アドレス帳」程度に絞り、その代わり利用するメモリ量を徹底的に減らし、TSR(Terminate and Stay Resident:メモリ常駐型)としていつでもキーをポンとたたくだけで呼び出して使えるようにしたのがこのSideKick。これだけでも当時としては画期的だったが、Windows時代では不要となり、消えていった。
ただDOSとCUIの環境であっても進化はしていく。MacintoshはWYSIWYG(What You See Is What You Get:画面と印刷物の解像度をきちんと管理することで、画面で表示されたものがそのまま等倍で印刷される)にこだわった一方で、Macintosh IIが出るまでのコンパクトMacは画面サイズが512×384ピクセルと小さく、それもあって大きな表計算とかはかなり苦痛があった。対してPCの場合、互換メーカーが大画面に対応したビデオカードを初期のころからリリースしている。