英Armの日本法人アームは5月26日、フラグシップCPUコア「Cortex-X2」や高性能コア「Arm Cortex-A710」などを発表した。いずれも3月に発表した新しい命令セットアーキテクチャ「Armv9」を採用したもの。同社は「今後10年の戦略」として、これらを含むIP群を統合した「Arm Total Computeソリューション」をパートナー企業に提供する。リージョナルマーケティング・ディレクターの菅波憲一さんは「徹底的にシステムレベルで性能を上げ、製品開発から市場投入までの時間を短縮することが狙いだ」としている。
Cortex-X2は、2020年に発表された「Cortex-X1」の後継モデル。bigコア(高性能コア)より演算性能を高めたコアで、ピーク時の演算性能に貢献するという。現行のAndroidスマートフォンのフラグシップ機の演算性能に比べ、約30%高速としている。
Cortex-A710は、Armv8アーキテクチャである前世代の「Cortex-A78」より電力効率が30%向上。これにより発熱を抑え、高負荷なアプリケーションをより長時間実行できるという。
合わせて発表された、LITTLEコア(低消費電力コア)の「Cortex-A510」もArmv9を採用。前世代の「Cortex-A55」より演算性能は35%向上し、Armv8世代のbigコアにも迫るとしている。
Arm Total Computeソリューションは、同社が持つそれぞれのIPを個別に提供するのではなく、ハードウェアからソフトウェア、各種ツールなどのIP群でシステム全体を最適化した設計をパートナーに提供するソリューションだ。IP群を統合することで性能やセキュリティの向上を図る他、デベロッパーの開発加速化にもつながるという。
例えば、ノートPCやハイエンドスマートフォンなど、特定の用途や必要な性能に特化したプラットフォームを同社のIP群で構築・提供することで、迅速な開発につなげる。
菅波さんは「2020年の動向ではWindowsとChromebookの領域で大きな流れがあった」として、Armアーキテクチャ向けWindowsアプリが多数登場したことに言及。Chromebook市場をターゲットに、高性能GPU「Mali-G710」も発表した。「Armの製品が組み込みシステムの領域からからPCの分野にまで広がっている。次の10年はPCに向け性能を高める方向に裾野を広げ、より多くのユーザーの手元にArmの技術が届くようにしたい」(同)と話した。
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