例年2月に開催される、アジア地域ではおそらく最大級と思われるカメラ映像機器ショー、「CP+」。国内ではだんだん大規模な展示会が少なくなってきた2010年から始まった、ある意味貴重なショーである。
特に日本にはカメラメーカーが異様なほど多く、その本家本元が出展することもあって、コンシューマーユーザーには貴重な機会である。
2020年は新型コロナウイルスの影響で開催が見送られたが、2021年はオンラインで開催された。こうしたイベントをどうやってオンライン化していくのかは、非常に重要な課題である。
今回は、リアル開催であった2019年と、オンライン開催であった2021年の報告書を見比べながら、今後の機器ショーオンライン化のポイントはどこにあるのか、考察してみたい。
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年5月31日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。
筆者は例年CP+を取材してきているが、毎回の雰囲気はそれほど大きく変わらない、ある意味定番のイベントであるように思う。男性中心、年齢層高めであるが、昨今は女性の集客に注力しているという特徴がある。
期間限定のオンラインイベントは、その集客が問題になるわけだが、CP+は2020年に開催されていないので、オンラインとはいえ期待感が大きかった。
来場者数を見ると、リアルイベントであった2019年は4日間で6万9615人。一方オンラインであった2021年は、5万169人。アーカイブ視聴まで含めると、9万454人であった。筆者が未曾有の大失敗と評価する「Inter BEE 2020 Online」の来場者数が1万7046人であったことから考えれば、日本のオンラインイベントとしてはまずまず誇ってもいい数字であろう。
来場者内訳を見てみると、2021年の非回答をどうみるかにもよるが、圧倒的に男性が多いという点はリアルもオンラインもさほど変わっていない。
リアルな場所には、「女性だけで行くには……」というところもあるのも事実だが、オンラインになったからといって、女性比率が上がるわけではないようだ。だが年齢で見ると、オンラインのほうが中心層の年齢が上がっている。
年齢が上がるとリアルイベント参加へのハードルが上がると考えられるかもしれないが、上がっているとはいえ、中心は50代である。筆者は現在57歳だが、足腰が弱るにはまだ早い。50代が意外にオンラインイベントに抵抗がないということが分かったのは朗報だろう。
逆にオンラインでは、19〜29歳の層の参加率が下がっている。この年代にとっては、ネットとはスマートフォンであり、PCではない。スマートフォンでの閲覧や集客アプローチに難があったということかもしれない。あるいは実機が触れないなら意味がないという、割り切った考え方もあるかもしれない。
興味深いのは、来場者の居住地だ。リアルイベントでは、実際に行ける距離であることが重要であり、会場であるパシフィコ横浜がある神奈川県についで東京というのは分かる。
一方オンラインイベントであっても、基本的な傾向があまり変わっていない。これはすなわち、リアルイベントの体験によって喚起された興味関心が、オンラインでも継続されたということだろう。イベントの知名度そのものに、行ける距離にあるかどうかが影響するともいえる。
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