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エアコン使い始めの臭い、発生のメカニズムと対策

» 2021年06月03日 18時25分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 暑くなって久しぶりにエアコンを冷房で動かしたら風に混じって気になる臭いが……。三菱電機の臭気判定士・河島綾さんによると原因は主に2つあるという。

 1つは室内機が吸い込んだ生活臭。とくに使い始めのエアコンは、冷房のオフシーズンに室内機のアルミフィンなどに付いた臭いの元になる物質が冷房の結露水によって空気中に放出され、風に混じって出てくる。

 2つめはカビ。冷房運転中に室内機が湿度の高い状態になると風向フラップや通風路、ファンにカビが生えやすいという。「カビの臭いの原因物質はごく微量であっても人は感知する。低濃度でも強い臭いとして感じやすい」。

 希なケースとしてもう1つ。結露水を外に排出するドレンホースの先端が排水溝などに入っていると、臭いが室内まで伝わることがあるという。

臭いを軽減するには

 臭いが気になってもエアコンに消臭剤や抗菌剤を吹きかけるのはNG。基板やセンサーの故障、熱交換機の腐食などにつながる。例えば熱交換機に冷媒を運ぶ配管が腐食して冷媒が漏れ出るとエアコン全体が機能しなくなる。

部屋の窓を開け、設定温度を最低にして1時間程度運転する

 対策は、冷房を使い始める際に部屋の窓を開け、設定温度を最低にして運転すること。1時間程度の冷房運転により室内機の中で結露した水が熱交換機に付着した臭い物質を洗い流すという。臭いが発生するメカニズムと同じのため最初は臭いが気になる場合もあるが、徐々に軽減されるとしている。

 原因がカビだった場合はカビを除去する必要がある。吹き出し口などのカビをふき取り、冷房運転して臭いを確認。改善されない場合は、手が届かない通風路やファンにカビが生えている可能性があるため、販売店やメーカーに相談する。

 三菱電機空調冷熱システム事業部の鳥海采さんは「内部の洗浄は自分で行わず、修理窓口に依頼してほしい。誤った洗浄剤の使用や取り扱いで故障や発煙・発火につながることもある」と警鐘を鳴らす。

カビが付着したエアコンの例。内部の洗浄は修理窓口に依頼してほしいと三菱電機

臭いを予防するには

 三菱電機では使い始めの臭いを予防するために事前のフィルター掃除と、他社製品を含む多くのエアコンが備えている「内部クリーン」機能の活用を勧めている。

 内部クリーンは、冷房や除湿運転の後、自動的に送風運転や弱暖房運転を行うというもの。エアコン内部を乾燥させてカビや臭いの原因になる物質の付着を抑えるという。

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