Google I/OとAppleのWWDCが終わり、メジャープラットフォーマーのOS戦略もかなり見えてきた。6月24日に「新しいWindows」の発表を控えており、メジャーの一角はまだ情報が欠けている、ともいえるのだが、この段階でも、おおまかな戦略は見えてきた。
そこで今回は、まずは2社の発表を踏まえ、「各社の新OSによってここから1、2年のIT機器がどう変わるのか」を予測してみたいと思う。
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年6月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。
スマートデバイス用のOS戦略は、この3年ほどで各社の間で大きな差が生まれた。
過去、例えば2015年辺りの戦略は、主軸となるスマートフォン用OSがあり、そのサイズバリエーションとしてタブレットが存在しており、いわゆるPC用OSはさらに別のものだった。GoogleはAndroidを主軸にし、AppleはiOSを主軸にする。そのバリエーションとしてAndroidタブレットとiPadがあった。PCやMac、そしてChromebookはさらに別の存在だったわけだ。各デバイスの連携はソフトやクラウドで行うものである。
大手の中で最初に戦略を変えたのはMicrosoftだった。正確には、市場の支持を得られなかったので「変えざるを得なかった」のだが。スマートデバイス向けOSの自社展開を諦めてPC用に絞った。スマートデバイス用OSを「選ばない」ようになったことで、Windows上のアプリ・サービスとして、AndroidやiOSと連携する機能を搭載する流れになっている。
Googleも、自社デバイスとしては「タブレット用OSとしてのAndroid」の展開は半ば諦めている。Chromebook上にAndroidアプリの互換レイヤーをのせ、Chromebookの重要性を高める戦略に出ている。
最新バージョンではAndroidスマートフォンとの連携機能も強化されており、ロック解除やファイル転送なども簡単になった。Androidはスマートフォン向けを主軸に進化を続けている。タブレット向けにAndroidを使うメーカーもあるが、それはメーカー側の判断によるものである。Androidの場合、UIを含めメーカー側での独自拡張の余地は大きく、Googleの自社デバイス向けの判断に倣(なら)うことが必須ではない。
Appleは最も戦略を変えていない。求める声は多いが、タブレットであるiPadとMacは統合する方向にない。ただし数年前と違うのは、「iOS」と「iPadOS」が違う方向に進みつつあること、自社デバイス間連携がさらに強化されていることだ。使用するプロセッサが全て自社の「Apple Silicon」になったことで、機能面での統一性も高くなってきている。
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