6月22日午後1時ごろから、Androidスマートフォンの「Google」アプリが繰り返し動作停止する現象が世界的に起きている。米Googleは問題について「現在調査中」としているが、エラーメッセージを読み解くことで、問題を解決する比較的まともな方法が見えてきた。
【追記:2021年6月22日午後7時 Googleによる公式の解決方法を追記しました】
問題の一時的な対応策には「アプリを無効化する」「アプリをアンインストールする」という方法もあるが、アプリを無効化すればエラーの通知は収まるもののアプリ自体が使えず、アンインストールすればアップデート適用前の工場出荷状態に戻るものの、セキュリティ的に良い状態とはいえない。
記者が見つけた方法は、「設定」→「アプリと通知」からGoogleアプリの「アプリ情報」を開き、「ストレージを消去」から「GOOGLE検索データを消去」を押すことで解決するものだ。
記者の手元ではバージョン12.22.8.23.arm64と12.23.16.29.arm64(6月22日午後4時時点で最新版)で動作停止の事象が発生していたが、いずれも同様の方法で回復した。開発者向けのデバッグログを読んでも、対策後にはエラーは発生していない。
この方法を実行した後、Googleアプリの検索画面を開いても検索履歴などは残ったままのため、特定のデータが失われる心配はないように思われるが、それでも心配なユーザーはGoogle公式の修正アップデートを待つべきだ。
Googleはコミュニティページで、ほぼ同様の操作による解決方法を公開した。ただし、「ストレージを消去」の次は「GOOGLE検索データを消去」ではなく「データを全て消去」の方を選ぶよう案内している。これにより、Googleアシスタントなどアプリの設定の一部が初期化されるとしており、実行後は設定の見直しを求めている。
(追記ここまで)
エラーが発生している状態で、「Android Debug Bridge」(adb)という開発者向けのコマンドラインツールからデバッグログを参照すると、アプリ起動後のログイン処理の直後に実行時例外が起き、その直後に「不正な引数のエラー」(java.lang.IllegalArgumentException)として「同じキーが複数エントリーしています」(Multiple entries with same key)というメッセージが表示されているのが分かる。
このキーはURLの形式で、末尾を見ると「hotword.data」という何らかのファイルであることが推測できる。ホットワードというと、音声検索のウェイクワードに関連する可能性や、各ユーザーの嗜好に最適化した記事をおすすめする機能の「Discover」に関連する可能性もあるが、はっきりしたことは分からない。
ストレージの消去後はこのエラーログが出現しないため、アプリのアップデート前後で何らかの衝突や参照ミスがあったといえそうだ。
Androidアプリ関連では、アプリの部品である「WebView」のアップデートに不具合があったためにさまざまなAndroidアプリが正常に動作しなくなった事例が3月にあったばかりだ。インターネット関連まで見渡せば、6月には米Fastlyと米Akamai TechnologiesというCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)ベンダーの2社でそれぞれ障害が起き、さまざまなWebサイトへアクセスしづらい状態になっていた。
インターネットに関わるサービスでは、1社の技術やバグが世界的に影響を及ぼすことがしばしばある。こうした問題は今後も起きうると考えられる。プログラムの性質上、バグをゼロにすることは難しいが、サービスベンダーにはバグ発生後の迅速な対応が求められる。
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