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「真のマルチタスク」を実現した「2画面スマートフォン」のこれからデジタル・イエスタデイワンスモア計画(2/6 ページ)

» 2021年06月30日 11時58分 公開
[甲斐祐樹ITmedia]

「2画面+α」にとどまっていた第1世代の2画面スマートフォン

 当然のことながら筆者もMEDIAS Wを発売日購入して愛用していたが、今振り返るとコンセプトは魅力的だったものの、せっかくの2画面なのに実際に得られる体験としてはいまひとつ物足りなかった。

 その最大の理由は、2画面利用時に利用できるアプリが制限されていたことにある。MEDIAS Wではメイン画面に通常通りアプリを利用できるが、もう1つのサブ画面は「Utility Apps」という独自実装のミニアプリに限定されており、2画面それぞれに好きなアプリを表示できるという仕様ではなかったからだ。

 せっかくディスプレイを2つ搭載するにもかかわらず、動作としては「1画面+α」という体験にとどまっていた、というのが正直な感想だ。

 NECカシオの携帯電話事業撤退とともに2画面スマートフォンはしばらく途絶えることになるが、MEDIAS Wから5年後の2018年にはNTTドコモからZTEの2画面スマートフォン「M」が発売される。こちらも形状としてはMEDIAS Wと同様ディスプレイを外側に配しており、2画面や大画面、同画面で利用できる点も共通だ。

photo ZTE Wのドコモ版「M Z-01K」

 Mの2画面表示はAndroidの「マルチウィンドウ」に準じているため、2画面で表示できるのはマルチウィンドウ対応のアプリのみ。独自アプリ限定だったMEDIAS Wに比べると使えるアプリは広がったものの、全てのアプリが利用できるわけではない。また、マルチウィンドウ自体は1画面のAndroidでも利用できるため、せっかくの2画面も「より広く使える1画面」に近かった。

 2つのディスプレイを搭載し、大画面や2画面、同画面など多彩なモードを搭載するが、2画面の動作自体は「1画面+α」にとどまっていたのがこれら端末の共通点だ。本記事ではこの端末を便宜的に2画面スマートフォンの第1世代と位置付けたい。

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