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15インチノートPC対応革カバンなのに重さは640g、折りたためて1万9800円 老舗野球グローブメーカーの秘密分かりにくいけれど面白いモノたち(2/5 ページ)

» 2021年06月30日 15時51分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 その秘密は、この会社が元々は老舗の野球用グローブメーカーだということと、そこから生まれた1つのアイデアにあります。メジャーリーグのグローブなどをOEMで作っていたトライオンは、グローブ製作の際にでる革の端切れを、お金を払って業者に引き取ってもらっていたのだそうです。それはもったいないということで、それらの端材で何か出来ないかと考えていました。同じ頃、グローブを作ることで培った革の扱いや縫製技術を何か他のことに生かせないかと、グローブ用に買い付ける革の仕上げ方を変えてもらい、それでビジネスバッグを造ろうというプランも進んでいました。

 そして1998年、バッグブランド「トライオン」を立ち上げ、グローブに使っていた素材を使って、一枚革で作ったブリーフケースを発売します。それを追うようにグローブの端材を四角くパネル状に切って、それをモザイクのように縫い合わせて一枚の革にしたバッグも発売。一枚革にしても、グローブ用に大量に買う革の応用ですし、モザイクに縫い合わせたものは、元々が廃棄予定の端材です。そのため、他の革カバンに比べて、とても安価に販売できます。

photo トライオンのパネルレザーを使った代表的な製品「トート横型 マルチカラー」1万7600円(税込)。パネルの色や並びは製品によって違うのも、端材利用ならではの魅力

 しかもグローブ用の牛革は丈夫です。何しろグローブに使うのですから耐衝撃性が高く、濡れにも強いのが特長。とても肌触りが良く、質感も高いので、バッグに仕立てた時に高級感や落ち着き、いかにも革らしいムードなどが漂うカッコいいカバンになります。それを「表面的にはシンプルで、機能にはこだわりを持つ」というポリシーでデザインするのですから、見た感じはシンプルすぎるくらいシンプルなのですが、一度使うと手放せない、「使える」ビジネスバッグになる訳です。

photo このように、パネルの間から下のナイロンメッシュが覗くのが、パネルライトの最大の特徴

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