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「“オンラインさい銭”に無断で名前使われた」──神社が相次いで注意喚起 運営元は「詐欺ではない」

» 2021年07月09日 19時00分 公開
[荒岡瑛一郎ITmedia]

 オンラインでさい銭を奉納できるWebサイトで名前を勝手に使われた──7月8日の夕方ごろから、神田明神や北海道神宮など、日本全国にある神社の公式Twitterアカウントでこんな投稿が相次いだ。話題になったのは、神社の情報を集めたWebサイト「カミムスビ」。Twitter上での「詐欺ではないか?」という声に対して運営元は「詐欺行為は断じて行っていない」としながらも、不備があったのは事実として、サービスを一時停止している。

 サイトの運営元は日本の神社を守る会(東京都練馬区)という社団法人。同法人によれば、カミムスビは日本各地にある神社の由来や行事などを紹介する目的で、非営利のサイトとして5月15日に運営をスタート。各神社の紹介ページからオンラインでさい銭を奉納できる機能を経営難の神社を支援するためとして6月21日から提供していたが、神社に許可を取っていなかった。

神田明神の紹介ページ(カミムスビより)

 神田明神や国王神社(茨城県坂東市)の公式Twitterアカウントはこの機能に対し、8日に「広報に一切の連絡がなく困惑している」「当社はおさい銭(を受け付ける)口座もオープンにしてないし、そんな話聞いてない」などとコメント。北海道神宮などは「入金を確認していない。ご注意ください」などと注意喚起している。

 これを受けた日本の神社を守る会は、同日に「情報を掲載している神社からの承諾を得ていなかった。関係各所への連絡を怠った結果、各神社に心配や迷惑を掛けてしまった」などとコメント。各神社への確認が済むまで機能を一時的に停止した。連絡に不備があった理由については、ボランティア4人で運営している団体のため、手が足りなかったと説明している。

さい銭機能の停止について

 同会によれば今回の機能は、米Stripe社のオンライン決済サービス「Stripe」を活用したものだった。当初の予定では、集まった金額が1万円を超えるか、神社から要請があった時点で、Stripeが設定する決済手数料3.6%と銀行口座への振込手数料を差し引いた額を、神社の口座に振り込む予定だったという。

 機能の提供を始めた6月21日以降、さい銭の支払いは2件あったという。1件目は6月28日、青森県の神社に1万円の支払いがあり、7月9日に手数料などを差し引いた上で神社に手渡した。2件目はTwitter上で今回の指摘が相次いだ後の支払いだったため、返金処理したとしている。

 日本の神社を守る会は今後、都道府県の神社庁からの問い合わせに対応する方針。各神社や神社庁に対しては、サイト運営元のStripeのアカウントを開示することでサービスの透明性を確保するという。さい銭機能が特定商取引法上の取引に当たる可能性もあるとして、弁護士と相談しつつ、必要があればサイト上に表記を付け加えるとしている。

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