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ホールケーキのサブスクサービス? コンビニスイーツも手掛ける製菓企業が狙うコロナ禍のニーズ食いしん坊ライター&編集が行く! フードテックの世界(2/4 ページ)

» 2021年08月02日 16時33分 公開
[武者良太ITmedia]

ケーキのお持ち帰り需要に目を付けた

 営業開発部部長の桑畑新志さんによれば、コロナ禍のニーズを踏まえて開発した商品なのだという。

 「外食に行きにくい時代となりました。そのためお店でデザートを食べる機会が減ってきました。しかしケーキ需要そのものは増えてきているんです。特に男性が購入する率が高くなってきました。リモートワークで仕事をする人が、甘いものを食べて気分を和らげながら仕事のモチベーションを上げるという背景があり、コンビニ、スーパーまたはパティスリー(菓子店)の売り上げが増えてきています」(桑畑さん)

photo 桑畑新志部長(営業開発部)

 自宅でのテレワークでは安らぎが侵食されるという意見が多い。そこで、癒やしとしてスイーツが求められているという。この需要の高まりとともに注目したのが、自宅でのお菓子作りブームだ。

 2020年4月、ホットケーキミックスなどのプレミックス(調整粉)や、パン作りに使う強力粉などが全国で品薄となった。なかにはネットオークションサイトなどで高値転売するユーザーも出てきたくらい、パン作りやお菓子作りの需要も高まった。そこで良質なケーキを通信販売するだけではなく、ケーキを作る技術も学んでほしいと考えたという。

 ここには桑畑さんの、1つの体験が深く関係している。

 「20年くらい前に、会社のお金で菓子学校に行かせてもらいました。そこで初めて学んだのがスポンジケーキの作り方でした。そのときに、本当に砂糖と卵と小麦粉だけで、こんなに生地が膨らんで、おいしいケーキが作れるのかとすごく感動したんですね。作り方が分かっていれば、家でも手軽に作れることを知って、それから3人の子どもの誕生日が来るたびに自分でバースデーケーキを作ってきました。そうしたら2人目の子どもが製菓専門学校に行くことになったんですよ。ほかの子どもも、毎日僕の弁当を作ってくれています。親子の触れ合いっていうのは年とともに忘れてしまうことがありますが、家族でおいしい料理を作った、食べたという思い出はずっと残ると思うのです」(桑畑さん)

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