東芝と理化学研究所は8月20日、学習済みのAIを、スマートフォンや自動運転車など、演算量が異なる機器に合わせて調整できる「スケーラブルAI」で、性能の低下を抑えられる新技術を開発したと発表した。組み込み機器やエッジデバイスへの適用を進め、2023年までの実用化を目指す。
例えば、画像認識で人物を検出するAIは、スマホや監視カメラ、無人搬送車などさまざまな機器に導入されているが、プロセッサの能力が異なるため同じAIを適用できず、それぞれ一から開発するケースが多い。演算能力に応じて単一のAIエンジンを展開するスケーラブルAI技術もあるが、元のAIから演算量を落とすとAIの性能も落ちるという課題があった。
従来のスケーラブルAI技術は、高性能なフルサイズのディープニューラルネットワーク(DNN)を基に、各層の重みを示す行列の一部を一律に削除して演算量を減らしていた。
新技術では、重要な情報が多い層の行列をできるだけ残しながら、重要でない層の一部を削除することで、誤差を低減し、AIの性能低下を抑えた。
画像データセット「ImageNet」を使った実験では、フルサイズDNNから演算量を2分の1に下げた場合、従来手法では分類性能が2.7%下がったが、新技術は1.1%にとどまった。3分の1、4分の1にした場合も、新技術が従来手法を1.7から1.8ポイント上回ったという。
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