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ドミノ倒し、どう並べるべき? リアルタイム“配置図”生成、プロジェクションマッピングで投影Innovative Tech

» 2021年08月24日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 最後まできれいに倒れるかが緊張感を誘うドミノ倒し。北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが開発して2020年の論文で発表した「Sketch2Domino」は、ユーザーが描いたスケッチからドミノ倒しの配置図をリアルタイムで自動生成し、プロジェクションマッピングで投影する技術だ。

photo 描いた線画からドミノの配置図を計算しプロジェクターで投影する

 システムのプロセスは次の4ステップで構成される。

  1. 最初に、ユーザーが再帰性反射材付きのペンを用いて描いた線を深度センサーによる画像から抽出し、ストロークデータを作成
  2. そのデータに対して、ドミノ倒しを実現できないような角度や密集などを調整するデータ整形を行う
  3. 整形したデータを基に、プロジェクションマッピングでドミノの配置図を投影する
  4. この際にユーザーがドミノを正しい位置に配置できたかを深度センサーの画像から判定する
photo システムの概要図

 テーブルの上空に設置したプロジェクターから下向きに、ドミノの下面画像を投影する。ドミノが倒れる間隔は2cmに設定。一度に全てのドミノの配置図を投影するため、多人数で共同作業できる。

 ドミノの上面には再帰性反射材が貼られている。この反射光の画像からエッジを検出し、実際に置いたドミノの位置と投影したドミノの配置図が合っているかを判定する仕組みだ。この情報はユーザーにもフィードバックする。

 合致していればドミノの上面に緑の円、1cmほど離れていれば黄色の円、2cm以上だと赤色の円を投影し、ユーザーに対してズレを視覚的に知らせる。これによってユーザーは修正しながら作業が行えるとしている。

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