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音ゲーの“譜面”作りをAIで高速化 KLabが「スクスタ」で活用、所要時間を半分にCEDEC 2021(2/2 ページ)

» 2021年08月30日 11時27分 公開
[吉川大貴ITmedia]
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Dance Dance Revolutionの先行研究を参考に機械学習モデルを開発

 譜面を出力するAIには、リズムゲーム「Dance Dance Revolution」の譜面を自動生成する先行研究「Dance Dance Convolution」を参考に「Onsetモデル」と「Symモデル」という2種類のモデルを組み合わせる仕組みを採用した。

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 Onsetモデルは音源を基に、ノートのありそうなタイミングを推定するモデル。一方のSymモデルはノート同士の間隔を基に、次に来るノートがどんな種類になるか推定するモデルだ。これらを併用し「Onsetモデルでノートを置くタイミングを決め、Symモデルでその種類を決める」仕組みにしているという。

 学習させるデータは、過去の楽曲約100曲やその難易度別の譜面など。これらに加え、各楽曲のBPMも入力しているという。高田さんはBPMを学習させる理由についてこう話す。

 「低難易度の譜面を作る場合、ほとんどのノートの位置が拍や小節の区切りと同タイミングになる。4拍子の場合、1小節は4拍で、拍が何秒おきに来るかというのはBPMで決まる。(AIに加え)人力で作成する場合も重要な参考になるため、社内でも管理用のデータを用意しており、これを機械学習にも利用している」

精度向上に“GAN”も検証中

 先行研究を活用し、業務を効率化したKLab。現在はモデルの改良に向け、さらなる取り組みを進めているという。

 その一つがGAN(敵対的生成ネットワーク)の活用だ。GANとは「より本物らしいものを作るAI」(ジェネレータ)を「本物か偽物か見抜くAI」(ディスクリミネータ)が評価することで精度を上げていく手法で、主に画像生成などの分野で活用されている。

 KLabでは、これをリズムゲームの譜面作りにも利用できないか検証中という。具体的には、音源を基にジェネレータでノートをどこに置くかというデータを生成。このデータと本物の譜面のデータをディスクリミネータが識別できるか試すことで、精度を上げる手法を試しているという。

photo KLabの高田敦史さん

 「画像や音楽などの自動生成はホットな話題。ただしこれらは自由度が高く、現状(の技術)では人間が見たときに違和感が残る。ところが、ゲームの素材の中には比較的生成しやすいものもある。ゲームはコンテンツの種類や量が多く、単純作業も増える。単純作業は機械学習に任せ、人間はクリエイティブな作業に集中できれば、機械学習を使ったコンテンツ生成の可能性は広がっていくのではないか」

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