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» 2021年09月03日 08時00分 公開

耳鳴りでスマホを操作するイヤフォン「EarRumble」 でも使える人は4割だけInnovative Tech

耳鳴りを発生させる筋肉収縮をスイッチに使ってスマートフォンを操作する新手法。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 独カールスルーエ工科大学と英ランカスター大学の研究チームが開発した「EarRumble」は、耳鳴りを発生させる筋肉収縮を利用してモバイル機器を操作するウェアラブルデバイスだ。大きな音を減衰させるのに使われる鼓膜張筋によって変化する外耳道内の圧力を測定し、ジェスチャーとして使う。

photo 耳に装着している様子

 鼓膜張筋の収縮を自発的に制御すると、ゴロゴロ音や振動音などの耳鳴りが発生する。ただし、誰もが自発的に動かせるわけではない。オンラインアンケート調査では、鼓膜張筋を自発的に収縮させて耳鳴りを誘発できる人は43.2%の回答だった。

 耳鳴りを誘発できる人のうち、80.7%が持続時間を変えたり、複数の音を連続して発することができると回答。また、ほとんどの場合は他人に気付かれずに鼓膜張筋を動かせることが分かった。

 今回は、一部の人が使いこなせる鼓膜張筋の自発的な収縮を活用してジェスチャー操作を行う。

photo 鼓膜張筋の収縮で鼓膜を締め付け、外耳道内の圧力を変化させる

 市販のイヤフォンからスピーカーを取り外し、3Dプリンタで印刷したケースに取り付ける。外耳道の密閉性を確保するために耳栓を使用。耳の中の気圧を測定するために、32Hzでサンプリングする圧力センサーを組み込んだ。

 鼓膜張筋を自発的に収縮できる参加者から圧力信号のデータを収集し、ジェスチャーを検出する機械学習パイプラインを開発、訓練した。閾(しきい)値検出アルゴリズムと特徴ベースの機械学習分類法を使い、圧力信号から1回の収縮、2回連続の収縮、1秒以上の長時間収縮の3つのジェスチャーを認識するようにした。

 電話の着信シーンを想定した実験では、1回の収縮で着信を受け取る、2回の収縮で拒否する、長時間の収縮でミュートにするの3つを参加者に操作してもらった。リアルタイム性能で最大95%の精度を実現したが、長時間収縮の検出によるジェスチャー(ミュート)は困難だと分かった。

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