ITmedia NEWS > 社会とIT >

「5G転換期の深刻な問題」――ソフトバンクが5Gの「パケ止まり」解消を宣言

» 2021年09月14日 19時24分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 「5Gの通信トラフィックが増える中、われわれが課題としているのは“パケ止まり”だ」――ソフトバンクの関和智弘常務執行役員は、9月14日の同社の新サービス発表会で、5G通信の課題についてこう指摘した。5G提供エリア内にもかかわらず通信ができなくなってしまう「パケ止まり」の解消に向け、同社は既存のLTE(4G)の周波数帯も有効活用する方針を示した。

 同社はパケ止まりが起きる理由について「5Gは展開途中のため、(電波の)連続性が不十分なエリアがどうしても出てしまう」と現状を説明。そうしたエリアで5Gを無理に使おうとしてしまい、うまく4Gに切り替わらず、パケ止まりが発生してしまうという。

photo パケ止まりのメカニズム

 そこで5Gの電波状態が悪いエリアでは、基地局から端末までの「下り通信」に5Gを使いつつ、端末から基地局までの「上り通信」にLTEを活用することで、パケ止まりを防ぐ。関和常務執行役員は、「5Gの電波は、周波数が非常に高くて届きにくいという特性がある。より届きやすいLTEも組み合わせて使う」と説明。パケ止まりの原因になっている上り速度の低下を改善する。

photo LTEも活用し、パケ止まりを防止に努める

 パケ止まりが、ユーザーの不満の温床になっていることはソフトバンクも認識しているという。同社がTwitterで調査したところ「5Gのマークが出ているのに、なぜパケットが止まるのか」「パケット使うのに5Gが邪魔」といった声が出ていると指摘。ツイートの内容が、通信事業者を特定しない形になっていることから「5G転換過渡期における深刻な問題」(関和常務執行役員)とした。

photo パケ止まりはTwitterなどでも指摘されている

 一方で、同社は5Gの基地局整備も継続して取り組む。同社の5Gプランの契約者数は7月末までで1000万人を突破。10月末までに2万局の基地局整備で人口カバー率80%、2022年春には90%を目指す。

photo 5Gプランの契約者数は1000万人を突破した

 パケ止まりを巡っては、NTTドコモも6月に対策中であることを発表。5Gの通信品質が悪い場所では4Gに設定を変更するよう呼び掛けた他、6月末までに対策の実施と基地局を1万局までに拡大する方針を示していた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.