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超音波で顔や手を“浮かべて”ビデオ会議 遠隔地からジェスチャーを反映Innovative Tech(1/2 ページ)

» 2021年10月11日 07時36分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 スイス連邦工科大学チューリッヒ校と英University College Londonの研究チームが開発した「ArticuLev」は、超音波で物体を浮遊させる空中ディスプレイシステムだ。今回はこのシステムとプロジェクションマッピングを組み合わせたビデオ会議用テレプレゼンスアプリを開発した。深度センサーによって検出した遠隔者の両手の動きを浮かんだビーズに反映させる。

photo 超音波でビーズを浮遊させ組み立てた顔と手のコンテンツ。遠隔者の顔をプロジェクターで投影し、腕によるジェスチャー操作を反映する

 超音波を使った音響浮遊法によりポリスチレンビーズのような軽量物を浮揚させ移動させられるようになったが、浮遊式空中ディスプレイはビーズ単位で検出、移動、組み立て、配置を手動で行わなければならない点が困難だ。

 今回のシステムでは手動部分を自動化して、開発者が容易に浮遊式空中ディスプレイのアプリケーションを開発できるようにする。開発者はターゲットの形状を指定し、アニメーション化するためのロジックをUnity3Dに実装するだけで、ビーズの検出、ビーズ同士の統合、所望通りの空中配置をシステムが自動的に実行する。

 ハードウェアは、上下に配置する16×16個のトランスデューサーを搭載した2枚の空中超音波フェーズドアレイ(合計512個)と、作業場に向けた3台のモーションカメラで構成。

photo 作業場のセットアップ

 システムは、カメラで浮遊させる前のビーズを検出(ピーズが糸や布等とどのようにつながっているかも検出)し、開発者が指定したターゲットの形状とをマッチングした上でビーズを組み合わせて浮遊させる。

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