このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
ソウル大学校の研究チームが開発した「Underwater maneuvering of robotic sheets through buoyancy-mediated active flutter」は、葉っぱのように平らで薄く軽い物体が落下するときの動きを制御するシステムだ。水中での実験では指定した位置にピンポイントで落下させる、底面からゆらゆら浮上させるといった動きにも成功した。
薄い平面状の物体が、流体中で自由に落下したり上昇したりするときには、非直線的な独特の軌跡を描く。葉っぱが木から落ちる様子や、1円玉を水槽の中に入れた際のひらひらと左右に揺れながらの落下など、ランダムに見えるこの自由落下は、物体の形状、物体と流体の密度比など移動体と周囲の流体に内在するパラメーターに支配される。
今回のシステムを使えばこうした物体を特定の位置に落とせる。逆に浮上する際も、水面のどこに浮上するかを制御できる。
実行するために、カスタマイズした葉っぱ型ロボット「Swimming leaf」を設計した。Swimming leafはベースとなる葉っぱシートの他に、液体エラストマー、柔らかい加熱回路、接着剤で構成。不均一な質量分布を持ち、局所的な密度や浮力分布を能動的に変えられる。
電流を流し加熱すると、エラストマーに包まれた液体が液相から気相へと移行し、筋肉のように体積が連続的に大きく変化する。この変化によって動きを制御し、特定の位置に誘導する。
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