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着座中の腰痛悪化、AIで予測可能に 東北大

» 2021年10月20日 20時56分 公開
[ITmedia]

 東北大学は10月19日、永富良一教授(大学院医工学研究科)などの研究チームが、荷重センサーを搭載した椅子とAIを活用して、オフィスワーカーの腰痛を予測する手法を発見したとする研究成果を発表した。椅子にかかる荷重の変化をAIで分析したところ、荷重にあるパターンがみられないと腰痛が悪化することが分かったという。

 実験ではまず、実際のオフィスワーカー22人と協力し、3カ月に渡って椅子にかかる荷重の変化の時系列データを収集。同時に1日3回、腰痛の程度についてアンケートを行った。

photo 腰痛予測のイメージと研究成果の図

 その後、これらのデータをディープラーニングで分析したところ、姿勢の固定化を防いでいる可能性のある細かい動きの共通パターンが見つかった。このパターンは「安定した座位」と「(重心の)わずかな揺れ」から構成されている。これが高い頻度で起きる場合は腰痛は改善傾向にあり、あまりみられない場合は逆に悪化する傾向にあったという。予測精度は約70%で「実用化可能なレベルの成果」(東北大)としている。

 センサーを搭載した椅子を使って慢性的な腰痛の危険性が高くなる姿勢などを判定する技術はすでにあるものの、今回の手法のように、比較的短い時間の着座による腰痛の可能性を、荷重の変化を基に予測する方法は存在しなかったという。

 同大は今回の研究について「個々人の(荷重の変化の)パターンの検出により、個別に腰痛の予報が可能になることを示しており、ウェアラブル端末やセンサーの利用価値が広がる可能性がある」とコメント。さらに実験で発見した、着座時に起こる細かい動きの共通パターンを分析することで、肩こりや頭痛、関節痛への対処法の開発が進むことも期待できるとしている。

 今回の研究成果は、学術誌「Frontiers in Physiology」の電子版に9月14日付で掲載された。

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