作業員の姿をスマートフォンのカメラで撮影すると、AIが身に付けている装備を分析。ヘルメットや落下防止のハーネスを装着しているかどうか確認できる──こんなサービスを、ソフトウェア開発を手掛けるコムシス情報システム(東京都港区)が提供している。
サービス名は「AIJO Safety」。高所作業を行う建築・通信業者の利用を見込んだSaaSで、AIやRPAの事業者が集う「第5回 AI・業務自動化展【秋】」(幕張メッセ、10月27〜29日)では、デモ映像などを展示中だ。サービスの仕組みや提供の狙いを同社の吉田恭平さん(事業開発室リーダー)に聞いた。
ユーザーがスマホのカメラで作業員を撮影すると、そのデータをコムシス情報システムがAWS上に構築したAIで分析。ヘルメットとハーネス着用の有無を判定し、リスト化して現場責任者の端末や、遠隔地にいる安全管理の担当者に送信する仕組みだ。
現場責任者、安全管理者それぞれによる確認の証跡を記録できるため、(1)AIが装着の有無を確認、(2)現場責任者が目視で再確認してリストを修正、(3)リストを遠隔地の安全担当者が最終確認する──といった手順を踏むことで、さらに安全性を高めることも可能という。
吉田さんによると、高所作業の現場によってはヘルメットやハーネスの装着が徹底できていない場合があり、対策として遠隔で監視するシステムを導入していても、作業員の数が多いとチェック漏れが発生したり、確認が間に合わなかったりするケースがあるという。
AIJO Safetyを使った場合、一度AIがチェックしたものを再確認するだけで済むため、遠隔地にいる安全管理の担当者の負担が減り、ヘルメットやハーネスの着用を徹底しやすくなるとしている。
一方、監視カメラの映像を基にヘルメットなどの着用状況を確認できるサービスなど、AIを活用した安全確認の技術はすでにいくつもある。そういった技術を使うサービスとはどう差別化しているのか。
「特に建設業の場合、作業現場が一定ではなく、さまざまな場所で業務を行うこともある。(固定の監視カメラではなく)スマホカメラで使えるSaaSとして提供することで、そういった状況にも対応可能にしている」
スマホを活用することで、場所を選ばず使えるサービスを目指すAIJO Safety。10月の提供開始以降、すでに複数の企業から試用の問い合わせがあるといい、今後はゴーグルや手袋の有無も確認できるようにする方針だ。
「すでに(通信業を手掛ける)グループ企業では活用が始まっている。今後は建築・通信に加えて、巨大な機械を製作する製造業者の利用も見込んでいる」
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