そして、10月28日の夜に正式発表されたニコンのZ 9だ。
開発発表は3月だったので長らく待ったのだけど、待っただけのことはあるという仕上がりだ。
一番の特徴はフラッグシップ機でメカシャッターをなくしたこと。開発当初はメカシャッターありとなしの両方を睨んでいたができあがった新型センサーの性能を見て、メカシャッターなしに決定したと聞く。
電子シャッターで問題となるローリングシャッター歪みだが、読み出し速度が超高速で、30M以上のミラーレス一眼の中では世界最速でZ 7IIに比べて約12倍のスキャンレートだという。
信頼性が重要なフラッグシップ機でメカシャッターを外す決断をするくらいだからかなりのものなのだろう。
ちなみに、電子シャッターのみのミラーレス一眼はZ 9が最初ではない。実は「Nikon1 J1」(2011年発売)が電子シャッターのみだったのである。そういう意味ではニコンらしいかも。ちなみにJ1もセンサーの読み出し速度がすごく速くて歪まなくて驚いたものである。
このセンサーはデュアルストリームにより撮影用の信号とは別にライブビュー用信号も出しているため、完全なブラックアウトフリー撮影ができるそうである。
画素数は約4500万画素。フラッグシップ機ながら画素数はぐんと上げてきた。
メカシャッターがなくなったことで、シャッター耐久回数の問題もなく、メカシャッターによる微細な振動もなく、音もしない。
さらにサイレントモードにすると手ブレ補正時の小さなモーター音も抑えるので、静寂が求められるシーンでも使える。
シャッタースピードは最高で1/32000秒、連写は秒20コマ(ただし、JPEG限定で秒30コマ、画像サイズを11M相当に落としての秒120コマも可能)。
AFは検出ターゲットがなんと9種類。
人物・犬・猫・鳥・車・バイク・自転車・列車・飛行機。確かに9種類だ。
基本的にはこの9種類を自動で判別してくれるのがすばらしい。しかも動画時も被写体検出を使えるのだ。
また3Dトラッキングを使ったリアルタイムトラッキングもミラーレス機では初めて採用。
ミラーレス時代のAF戦争は「トラッキング性能」と「被写体自動判別」がテーマになってるのだが、Z 9が一歩抜け出したかもしれない。
手ブレ補正は最高で約6段。手ブレ補正搭載レンズとの協調補正も可能になったが、対応するレンズが限られている(当初は3本)のは残念な点だ。
電子シャッターのみのメリットを活かした超高速なフラッグシップ機だ。
動画は8K 30pに対応し、最長125分間取り続けることができる他、ファームアップで8K 60pやPreResへの対応も予定している。
EVFは約369万ピクセルと他社のフラッグシップ機に比べると多くはないが、画素数よりもリアルタイム性(リアルタイムビューファインダー)や輝度を重視したのだろう。
背面モニターも画素数こそ多くないが、4軸チルト式を採用。
縦位置でも横位置でもチルトできる。
α1はチルト式、EOS R3はバリアングル、Z 9は縦方向対応の4軸チルトと異なった可動式モニターを採用したのが面白いところだ。
メディアはCFexpress Type Bのデュアルスロット。メディアの読み書きの速度を考えると、高速な同一メディアのデュアルというのは運用しやすくてよいと思う。
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