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ニコン「Z 9」は未来のカメラだった ソニー「α1」、キヤノン「EOS R3」と比較してみよう荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/4 ページ)

» 2021年10月30日 08時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 開発表明から半年強、やっと正式発表となりましたニコンの「Z 9」。これでソニーの「α1」、キヤノンの「EOS R3」、ニコンのZ 9とそろったので各社フラグシップカメラの特徴や違いを見てみたい。特にZ 9は予想以上に未来のカメラになってたのだ。

予想以上のインパクトだったニコン Z 9(新製品発表会映像より)

 EOS R3とZ 9はまだ発売前なのでその辺は加味しつつ読んでほしい。

フラグシップカメラの系譜

 今フラグシップカメラと呼ばれている存在はフィルムカメラ時代のキヤノンの「EOS-1」と、ニコンのFヒトケタ機に遡る。どちらもプロのフォトグラファーのために技術の粋を尽くした製品で、それぞれが競うように開発を進め、デジタル一眼レフ時代になると、キヤノンが「EOS-1D」(最新モデルは2020年発売のEOS-D X Mark III)、ニコンがDヒトケタ(最新モデルは2020年のD6)で競い合うという構図になった。

 このクラスの特徴は速さと信頼性。スポーツや報道、ネイチャーといった苛酷な現場仕事に対応できるカメラで、AF速度や連写性能、高感度耐性、失敗が許されない確実性、バッテリー性能を重視した設計で、万人向けというわけじゃない。

 だから画素数も抑えめで(EOS-1D X Mark IIIは2010万画素、D6は2082万画素)、縦位置グリップが一体化した仕様だ。

 縦位置グリップがあると縦位置で撮影したいとき持ちかえるだけで安定した構えで撮れるし、そこにバッテリーを入れることで駆動時間も延ばすことができる。その代わり大きく重くなる。

 それを踏まえてミラーレス一眼時代のフラグシップはどこへ向かうのか。

最高性能をコンパクトボディに凝縮したα1

ソニーのフラッグシップ機「α1」。コンパクトボディに最先端が凝縮されている

 現時点で唯一発売されているのがソニーのα1だ。なのでここだけ実機の写真を入れてみた。

 フラッグシップ機群の中で唯一縦位置グリップなし。

 キヤノンやニコンがスポーツや報道の現場をメインターゲットにおいた製品づくりをしてきたジャンルだが、α1はちょっと毛色が違う。

 α7シリーズのデザインをベースに「現時点で最高の技術をコンパクトに凝縮した最高峰のカメラ」という印象だ。

 だからセンサーの画素数は約5010万画素と最高レベルで、この画素数で秒30コマの連写を実現。

 もともと速度や食いつきに定評があったAFも人物、動物の瞳対応に加えて鳥にも対応。

 ただ、人物・動物・鳥は切替式。あらかじめ指定しないといけない。ちょっと残念。

鳥の瞳を認識した図

 ファインダーは約940万ピクセルの超高精細で大きくて見やすい。

 モニターはバリアングルではなくチルト式。

 シャッターはメカシャッター時は1/8000秒まで、電子シャッター時は1/32000秒まで対応している。電子シャッター時のローリングシャッター歪みも抑えられており、この辺はソニーらしいところだ。

 動画は8K 30pか、4Kの120fps。

 ソニーなので映像撮影システムの中核として使える仕様になっており、静止画と動画をほぼ等価で捉えている。

 メディアはSDXCとCFexpress Type A。

 縦位置グリップがないこともあり、この性能で質量は約737g(バッテリーとメモリカード含む)と軽いのも特徴だ。

 5010万画素で連写ができる超高性能で、AFも超高速でファインダーも大きくて見やすい最高峰のカメラなのは間違いなく、「コンパクトで軽くて最高性能」な日常で使える最高峰カメラがα1だと思う。

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