アドビは以前より、各種ツールで作られたコンテンツの「来歴」「編集結果」を担保する技術を模索してきた。作品が盗用されることを防いだり、SNSやWebに投稿される写真などが「本当は誰が作り、どう編集した結果なのか」を示すことで、いわゆるフェイクニュースへの対策とするためだ。
そのために生まれたのが「Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ=CAI)」であり、業界をまたいだオープンな試みとして、多くの企業が参加している。
今回、アドビのツール群がCAIに対応し、認証情報を埋め込めるようになった。
それと同時に発表されたのが「NFT」への対応である。NFTとは「ノン・ファンジブル・トークン」の略。特にアートの世界では、コンテンツにブロックチェーンでタグを埋め込んでいくことで、その作品の唯一性を担保した上で、デジタルコンテンツの販売・流通につなげる動きが多い。
アドビがNFT対応をしたのは、前出のCAIと連動することで、コンテンツの来歴保護をより高めるためである。アドビのクリエイター向けソーシャルメディア基盤「Behance」の中にNFTを取り込み、NFTを使ったアートの流通事業者とも連携する。
では、アドビとしてはNFTをどう捉えて取り組みを決めたのだろうか?
ベルスキーCPO:NFTは、クリエイティブな人々がコレクターのコミュニティーを作るための最もエキサイティングな新しい方法の一つです。私たちはクリエイティブな人々のキャリアを強化するためにできる限りのことをしたいと思っています。
実際、NFTの多くは当社の製品を使って作られています。私たちは、クリエイティブな人々がNFTを簡単に試すことができるようにし、NFTの世界にある大きな問題を解決したいと考えています。
すなわち、「クリエイターとその作品のコレクター」の関係を良いものにし、コミュニティーを活性化させるツールとしてNFTを使う考え方だ。NFTとは利殖的な話が注目されるところがあるが、そうした流れは危ういし、本質ではない、と筆者も考える。
「より確実にクリエイターとつながり、彼らを支援する道具」が良い位置付けだろう。いくらになるかよりも、そちらの方がクリエイターの価値を高める、という意味では有益だ。
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