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1290万人? 830万人? ドコモ通信障害の影響規模がよく分からないのはなぜか(2/3 ページ)

» 2021年11月10日 16時46分 公開
[松浦立樹ITmedia]

石川県や奈良県など5県で圏外にならなかった理由

 全ての通信が利用できなかった状況は14日午後5時37分から午後7時57分の2時間20分の間に生じ、石川県と富山県、福井県、奈良県、和歌山県を除く全国の約100万人のユーザーに影響を与えたという。

通信障害の概要

 石川県などの5県が影響を受けなかった理由について、全国で位置登録信号を制御するために実施したネットワークコントロールの100%制限をこの5県では行わなかったためだと同社常務執行役員の小林宏ネットワーク本部長は説明する。

 「当社では、ネットワークコントロールを東日本と西日本に分けて実施した。やり方としては、東日本なら東から西へ、西日本では西から東へと端から順に実施していたのだが、この5県に到達するころには規制の効果が現れ、輻輳が収まっていた。そのため、コントロールを緩和したため5県では通信が利用できない状況にはならなかった」(小林宏ネットワーク本部長)

 このように理由を話し、通信しづらい状況とは別に、石川県などの5県では通信が利用できない状況は発生していない認識であると考えを述べた。

音声通話とデータ通信で、影響規模の表記が揺れるワケ

 スマートフォンやIoT機器など端末が通信するためには、利用効率の観点から基地局に端末の位置情報を登録する必要があり、通信の際には常に位置情報をサーバに発信したのち、通話やデータ通信が利用できる。

携帯電話のつながる仕組み

 これを踏まえて同社は、各端末の通常稼働時との位置登録情報の差分から影響を受けたユーザー数を算出したという。圏外となり利用できなかったユーザー数は、ネットワークコントロール100%規制時の位置登録数差分の最大時から算出した結果、約100万人と分かったとしている。

 音声通話がつながりにくかったユーザー数は、通信稼働時と障害のあった約29時間のコール数の差分を一人当たりの平均コール数で割り、影響規模は約460万人と算出。データ通信に関しては、通常稼働時の4Gサービスの位置登録数差分の最大値から計算し、830万人以上のユーザーに影響があったと説明する。

影響規模の算出方法

 音声通話と異なり、データ通信の影響規模は830万人「以上」と表記されている。この理由について「位置登録数差分の最大値が830万人であると分かった。ここから影響を受けたユーザーの数は減っていくが、障害中に4Gから3G、3Gから4Gへと通信回線が変わっているユーザーもいるため、それを含めると830万人以上に影響を与えたといえる」と引馬サービス運営部長は説明する。

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