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遠距離でも恋人の足裏をこちょこちょ 独研究チームら、小型ブラシ内蔵インソールを開発Innovative Tech

» 2021年11月30日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 ニュージーランドのThe University of Aucklandと、ドイツのTechnical University of Applied Sciences Lubeckの研究チームが開発した「TickleFoot: Design, Development and Evaluation of a Novel Foot-tickling Mechanism that Can Evoke Laughter」は、足の裏をくすぐることで笑いを誘発するアクチュエーター内蔵ウェアラブルインソールだ。靴の中敷きに間隔を空けて小型ブラシを整備し、磁力で動作させてくすぐる。

靴の中敷きにセットアップした3つのブラシ

 通常の歩行や日常の動作を妨げずに、インソールにくすぐり機構を組み込むには、薄いフォームファクターでありながら笑いを誘発させる効果的な動きを必要とする。

 最近の研究では、磁気運動を利用したアクチュエーターを検討しているが、研究チームはこの作動原理をさらに発展させ、柔軟で薄いインソールに組み込んだ。

 このアクチュエーターは、電磁界を発生させるプリント基板や永久磁石(ネオジム磁石)、その磁石に取り付けたブラシで構成する。プリント基板は、4つのコイルで設計しており、コイルによる発生した小さな磁界で永久磁石を引き寄せる。

 ブラシは、ユーザー調査の結果から一番くすぐったいと分かったゴールデンセーブルの毛で作成した。磁石を含めたブラシの平均的な高さは15mm。足のアーチ部分には、平均の高さ40mmとやや長めのブラシを使用し、足の裏にわずかに触れる高さにそれぞれを設置した。

4つのコイルを使って電磁界の組み合わせを発生するPCBモジュールや磁石、ゴールデンセーブルの毛を使ったブラシの概要

 足の裏の最もくすぐったい場所とくすぐり方を特定するため、ユーザー調査を行った。調査結果から、アクチュエータを配置する刺激箇所を12か所から3か所に絞り、ブラシの動作パターンや周波数などを含む、作動パラメータを決定した。ブラシの配置と動作パターンを最適化したプロトタイプを作成し、被験者数人に笑いを誘発できるか検証したところ、効果的に笑いを誘発できると分かった。

 被験者のフィードバックを参考にした活用方法には、遠隔にいる恋人とのくすぐり合いや、仕事中の眠気防止、リフレッシュ(ブラシの代わりに堅い素材を使いツボを刺激する使い方)、動画を見ている際の笑うポイントでの動作などを提案した。

(A)遠隔地にいる恋人とくすぐり合い、(B)映画の視聴中に笑いのポイント時に使用、(C)仕事中のリフレッシュに使用

Source and Image Credits: Elvitigala, D.S., Boldu, R., Matthies D. J. C. and Nanayakkara, S.C., 2021 TickleFoot: Design, Development and Evaluation of a Novel Foot-tickling Mechanism that Can Evoke Laughter ACM Trans. Comput.-Hum. Interact (Accepted to be published in ToCHI Special issue on Digital Touch).



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