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「2画面スマホ」はスマートフォンの未来か 「Surface Duo 2」海外モデルを取り寄せて検証してみたデジタル・イエスタデイワンスモア計画(2/3 ページ)

» 2021年11月30日 18時34分 公開
[甲斐祐樹ITmedia]

大画面モードは課題もあるが電子コミックには最適

 肝心の2画面動作については、G8X ThinQで体験していた「2つのディスプレイで異なるアプリが同時に動く」という動作は期待通り。アプリを別の画面へ移動するのにスワイプ1回で操作できたり、全てのアプリで2画面を1つの大画面として表示できるなど、2画面の扱いについてはLGよりも洗練されていると感じた。

 面白いのが2画面の連携だ。OneDriveの「写真」フォルダに表示された画像を、ドラッグ操作で別のディスプレイに表示したWordに挿入できる。対応はMicrosoft製アプリなどごく一部に限られるが、この仕様が普及すれば2画面ならではのメリットはさらに大きくなるだろう。

photo OneDriveの写真をWordに挿入するなど、左右それぞれの画面に表示したアプリ間で連携できる

 2画面スマートフォンで期待されがちな電子書籍の閲覧については、コミックとテキストで大きく分かれる。コミックについては「Amazon Kindle」や「BookLive!」「ジャンプ+」などのアプリを試したところ、作品一覧や表紙など一部の画面で矯正横表示されるものの、作品そのものは見開きで表示されるため実用性は十分だ。

photo コミックは見開きで表示できる。たきりょうこ著「本日のエンジニアさん 家電のスタートアップ企業・カデーニャカンパニー」P10/P11

 一方でテキストについては、本体中央のベゼル部分も表示領域として扱うため、横書きであれば問題ないが、縦書きの場合は本体中央のベゼル部分にテキストが隠れてしまう。Koboなど一部のアプリは縦書きの見開きでページを分割表示する機能を備えているため、他の電子書籍アプリも対応を期待したい。

photo 縦書きのテキストは中央がベゼルに隠れてしまう。北大路魯山人「美味い豆腐の話」青空文庫

 前述の通り、中央のベゼル部分は表示が隠れてしまうため、2画面を1つの大画面として使う際の利便性はアプリによってまちまち。地図アプリであればこまめにスクロールして使うこともあり、見えない部分が多少あっても使い勝手はあまり損なわれないし、ブラウザについては縦表示にすればベゼルもさほど気にならない。

 しかし、動画については中央に非表示領域があることで明らかに視認性が下がり、映画やドラマなどを見ていても没入感が高まらない。物理的な構造が問題のため解決は難しいが、オプションで「ベゼル部分は表示領域としない」という選択肢もほしいところだ。

photo ITmediaのページを表示したところ。中央が表示されない

 2画面スマートフォンとしては十分に魅力的な1台だが、一般的なスマートフォンのように1画面のみで利用する場合は課題が大きい。Surface Duo 2は横幅が92.1mmと大きく、1画面でも片手で操作するには反対側まで指が届かない。背面のカメラは本体よりも少し出っ張った構造のため、ディスプレイを反対側に折り返した際はぴったり折りたためず、カメラの出っ張りの分だけ隙間ができてしまう。

photo カメラ部分が大きく出っ張る
photo 反対側に折り返すと隙間ができる

 仕様としては十分に満足しているものの、2画面スマートフォンの動作としてはまだこなれていない部分も多く、ホーム画面が落ちたり日本語入力ができなくなったりという不具合が多発している。いずれもディスプレイをスリープ解除すれば復帰できる程度の不具合ではあるが、日本国内のリリースまでに改善を望みたい。

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