このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
スイスのチューリッヒ大学とIntelの研究チームが開発した「Learning high-speed flight in the wild」は、見たことがない全く未知なる環境において、障害物にぶつかることなく高速でその環境を突破できるドローン自動運転システムだ。
森林や建物、洞窟などの複雑で未知なる環境を探索する場合、高速で機敏で小型ドローンが効率的だが、自律型ドローンは、地図がないと未知の環境を通り抜けることができない。
研究チームは、これまで見られなかった環境を飛行する自律型ドローンを訓練し、最大40km/hの速度を維持しながら、雑多な障害物に衝突せずに目的地へ飛行する手法を提案する。これは全て、ドローンに搭載したカメラと計算のみを使って達成する。
CNN(Convolutional Neural Network)を使い、センサーからのデータのみに基づいて最適な軌道を予測。今回のこのワンステップな方法は、センサーデータから環境のマップを作成し、次にマップ内の軌道を計画する、これまでのような2ステップシステムに比べて高速に処理できる。その結果、適宜判断が速いため高速に障害物を避けて効率の良い軌道で通り抜けられる。
今回の手法は、ドローンだけでなく自動運転車のパフォーマンスを向上させるのに役立つ可能性もあるという。またデータ収集が困難または不可能な環境、例えば他の惑星での運用のために機械学習システムを訓練する新しい方法への扉を開く可能性さえあると研究チームは説明している。
Source and Image Credits: Antonio Loquercio, Elia Kaufmann, René Ranftl, Matthias Müller, Vladlen Koltun, and Davide Scaramuzza, “Learning high-speed flight in the wild” SCIENCE ROBOTICS, 6 Oct 2021, Vol 6, Issue 59, DOI: 10.1126/scirobotics.abg5810
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