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「トヨタの本気」全力攻勢のEVに、Teslaオーナーが期待すること走るガジェット「Tesla」に乗ってます(1/4 ページ)

» 2021年12月22日 10時33分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式で語ります。


 今回のTesla連載は、Teslaユーザーから見たトヨタのEV攻勢とEV購入時の補助金について触れます。Teslaのイーロン・マスクCEOもトヨタの本気に喜んでいると思います。

 これまでEV(電気自動車)に消極的との論調がメディアにおいて散見されたトヨタですが、12月14日、本気モード全開のあっと驚くEV大攻勢の発表を行いました。プレゼンでは「2030年に350万台を目指す」「30車種のバッテリーEVを展開」「レクサスは2035年にバッテリーEV100%」など刺激的なフレーズが踊ります。

photo 多くがモックアップだと分かっていてもこれだけ勢ぞろいすると圧倒される。Model 3のライバルになりそうなミドルサイズのセダンもある

 圧巻だったのは、豊田章男社長が「さらなるトヨタのバッテリーEVラインアップです!」と声も高らかに宣言した瞬間でした。宣言と同時に背後の幕が落とされると、前方に並んでいた5台の「bZ」シリーズの奥になんと11台ものEVが登場、セダン、SUV、オフロードモデル、スポーツカー、小型のシティーコミューターなどあらゆる種類のEVがそろっています。「bZ」シリーズというのは、トヨタが今後展開するEVのブランド名で「Beyond Zero」(ゼロの向こう)のことだそうです。

photo EVが展示されている東京・臨海副都心の「メガウェブ」。豊田社長がエンドレスの動画で熱弁をふるっている。ただ、展示車が規制線から遠すぎてよく見えない

 以前は業務提携して出資を受けていたトヨタが本格参入したことで、TeslaのCEOであるイーロン・マスク氏も喜んでいることでしょう。かつてマスク氏は、他社がEVを多く生産することこそが「持続可能な社会を加速させる」と公言し他社参入を望んでいました。

 発電事情を考えると日本でEVが増えることがカーボンニュートラルに寄与するのかどうかは議論百出なので筆者には判断がつきません。とはいえ、欧州、米国、中国といったグローバルな視点でみたら、カーボンニュートラルはポジティブな方向に進むように思えます。

 Teslaは、2014年にEVに関する特許をオープンにしたくらいなので、EVが増えて欲しいというマスク氏の願いは本当なのでしょう。しかし、Teslaはその後も次々とバッテリーなどに関する特許取得を続けており、言行不一致も甚だしいという見方もありますが、2019年の年次報告書には「特許を取得したうえでオープンにすることで逆に他社の独占を防ぐ」(大意)といった趣旨の記述があります。

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