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» 2021年12月24日 08時00分 公開

音楽に感動したときの鳥肌を他人と共有するデバイス、慶應大の研究チームが開発Innovative Tech

慶應義塾大学の研究チームは、音楽の演奏を聞いている人の鳥肌を検出し、他の人に共有するシステムを開発した。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 慶應義塾大学の研究チームが開発した「Frisson Waves: Sharing Frisson to Create Collective Empathetic Experiences for Music Performances」は、音楽の演奏を聞いている人のFrissonを検出し、他の人に共有するシステムだ。ここでのFrissonは、音楽を聞いた人が心に深く響いたときに、突然の興奮を覚え皮膚が変化する状態を意味する。

演奏を聞いている人のFrissonを検出し、近くにいる周囲の人にFrissonを共有するシステム

 Frissonは個人的な体験なため、他人と共有するのは難しい。そこで研究チームは、Frissonを検出するためのセンシングリストバンドと、Frissonを誘発するための触覚ネックバンドの2つのデバイスで、Frissonを他人と共有できるかを試みた。

(1)Frissonを誘発させる触覚ネックバンド、(2)Frissonを検出するセンシングリストバンド

 センシングリストバンドは、搭載する反射型光電式容積脈波計で心拍数を、皮膚電気活動センサーで皮膚の導電率の変化を捉え皮膚電気活動を計測する。このように取得した心拍変動と電気皮膚活動の特徴を抽出し、機械学習(SVM)でFrissonかどうかを分類する。このモデルは、32人の参加者、それぞれから約20分のデータを使った一連の事前調査で学習した。

 Frissonを誘発する触覚ネックバンドは、温度刺激を提示できる2つのペルチェ素子を搭載する。実際に誘発されたかどうかを実験するために、被験者15人にネックバンドを装着してもらい、首の後ろに24度に設定したモジュールを1分間当てる方法を試みた。

 Frissonが誘発された際に押してもらうボタン付きリストバンド(上記の鳥肌を検知するリストバンドとは異なる)を付けてもらい計測。テスト中にFrissonを経験したかどうか、それがどの程度強かったかを7段階のリッカート尺度(1=まったくない、4=はっきりしたFrisson感、7=非常に強いFrisson感)で答えてもらった。

 その結果、15人中11人が合計52回、リストバンドのボタンを押した。インタビューでは、14人がテスト中にFrissonのような感覚を経験したと回答。11人が、よりはっきりとしたFrissonを意識的に体験したと回答した。これら結果は、Frissonの検出から、波及、周囲の人と共通できる可能性を示唆している。

Image Credits: Keio Media Design, Embodied Media & Geist, Frisson WavesSource: Yan He, George Chernyshov, Dingding Zheng, Jiawen Han, Ragnar Thomsen, Danny Hynds, Yuehui Yang, Yun Suen Pai, Kai Kunze, and Kouta Minamizawa. 2021. Frisson Waves: Sharing Frisson to Create Collective Empathetic Experiences for Music Performances. In SIGGRAPH Asia 2021 Emerging Technologies(SA '21 Emerging Technologies).Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 5, 1-2. DOI:https://doi.org/10.1145/3476122.3484847



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