ただ、こういった状況もここ1〜2年で変わりつつあります。これまでデジタル技術に馴染んでいなかった現場スタッフがクラウドサービスに触れる機会が増え、そのメリットを理解し始めているのです。
これはオフィスワーカーの中でも、事務部門にクラウドが浸透した影響だと考えています。オフィスワーカー間で業務デジタル化の波が起こり、人材管理などを円滑化するサービスが普及するにつれて、事務部門のクラウドに対するイメージが好意的なものに変わっていきました。これに伴い現場のスタッフも、勤怠や労務などでデジタル化のメリットに触れる機会が生まれ始めています。
例えばあるホテルチェーンが、カミナシのサービスを導入したときのことです。クラウドサービスを使うことに懐疑的な現場のスタッフたちに対して、本社の推進担当はこんなことを言ったそうです。
「皆さん、カミナシというサービスは『SmartHR』の年末調整と同じです。質問に答えていくだけで帳票が自動で出来上がります!」
すると、スタッフたちは「それは楽だ」と前向きな姿勢に変わったそうです。まさにここが、現場デジタル化が進み始めるポイントです。
例に挙げたホテルチェーンのように、頭で理解しようとしていたところから、肌感覚でデジタルのメリットを理解するという体験が積み重なった結果、少しずつですが受け入れる準備が整ってきたように思っています。
実際、カミナシは16年末に創業していますが、そこから準備して無風状態が続き、ようやくここ1〜2年で大きな風が吹き始めました。今はちょうど、先行して耐え忍んでいた事業者にチャンスが舞い込んだタイミングなのだと思います。
次回は、具体的にデスクレスSaaSに参入している企業や、今後の市場がどのように動いていくかについて書こうと思います。
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