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2022年の転職市場、IT業界は採用再開の動き 「SIerなどで未経験者の採用枠も増加傾向」就職人気から占う今後のIT業界

» 2022年01月21日 11時30分 公開
[ITmedia]

就職人気から占う今後のIT業界:

エンジニアをはじめとするIT人材は今やIT業界のみならず、さまざまな業界のDXを支える存在だ。このコーナーでは、調査会社などが発表している就職人気ランキングから、向こう数年のIT業界・IT人材動向のヒントを探っていく。

 2022年上半期の転職市場は転職者に追い風──。転職サービス「doda」を手掛けるパーソルキャリアによれば、特にIT業界やWeb業界を中心に、ITエンジニアやクリエイティブ職だけでなく、事業拡大に必要な新規開拓を担う営業や、商品開発などに携わる企画・マーケティングでも求人数の増加が期待できるという。

 IT業界では、コロナ禍で一時的に採用が止まっていた企業に採用再開の動きが見られ、ITエンジニアの採用が活発化。「事業会社ではハイレベルの即戦力採用が主流な一方で、事業会社の委託先である元請け企業や、元請け企業に人材を送り込むアウトソーシング会社やセカンダリーを主とするSIerなどでは、未経験者の採用枠も増加傾向」と同社は分析する。2018年に経産省が提言した「2025年の壁」を見据えたDX推進も求人増の背景の一つという。

 クリエイティブ職も、企業のDX推進などを背景に、Web業界を中心に経験者に対する採用ニーズが強まる見込みとした上で「ライブ配信事業や動画マーケティング手法活用などの増加を受け、動画関連の採用ニーズも強まることが予測される」としている。

 巣ごもり需要の高まりを受けてネットビジネスへ参入する企業が増加していることから、営業職の採用ニーズも堅調とみる。業界としてはECやゲーム業界、フードデリバリー業界、コンサル業界の採用ニーズが堅い。コンサル業界でも、特にIT系で非対面営業を行うSaaS系企業の成長、対面から非対面営業に切り替える企業の増加を背景に、インサイドセールスやフィールドセールスに加えカスタマーサクセスの採用が活発化。これからも採用ニーズは伸長の見込みとしている。

 企画・マーケティング職では、企画やマーケティング、商品開発など、今後の戦略立案で重要な役割を担う人材の採用が高まっていると指摘。コロナ禍により、EC担当者、オンラインイベントの企画運営担当なども求人増の見込みという。

 この他にも、コロナ禍でも投資が続くIoTや半導体、電子部品、自動車、装置といった製造業で製造エンジニアのニーズが高いという。特に自動車業界は、自動運転、電動化、コネクテッド化した自動車の開発が急務。「半導体や電子部品も、DXに伴い需要が高い状態が続いている。そのため経験10年前後のミドル層を中心に採用市場は活発化」と指摘。「エンジニア未経験者の求人は、コロナの拡大以降しばらく縮小傾向だったが、特に自動車の生産台数増と連動するような形で、サプライヤーやアウトソーシング業界の採用ニーズが回復。同業界を中心に未経験者の採用も2022年上半期には増加が期待される」という。

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