ITmedia NEWS > 社会とIT >

共通テスト不正に加担しそうになった──当事者のnoteが話題 「手口は初見殺し」

» 2022年01月28日 14時52分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 「共通テスト不正に加担させられそうになっていた」──連日報道が続く、共通テストの画像流出問題について、そのように告白したnoteの記事が話題になっている。投稿者のいちむらさんは「この手口は初見殺しで、まっとうに生きていればなかなか気付けない」と話す。

 発端となったのは2021年12月1日。オンライン家庭教師サービスを通じて、自称高校2年生の女生徒から「共通テスト対策の授業として、1月15日もしくは16日に体験レッスンをしてもらいたい」という依頼が、いちむらさんの元に届いた。

 「ここまでは通常の依頼と変わりない」といちむらさん。しかし続けて「前に依頼していた先生があまり良くなかったので、先にテストという形で問題を解いてもらって、大丈夫そうなら正式に指導をお願いしたい。教科は英語と数学IA、数学IIB、化学」という旨のメッセージが届いたという。

 いちむらさんはこの時点でも「面白い依頼」ぐらいにしか思わず、その後もSkypeへと移行し、やりとりを続けて特に怪しむこともなかったとしている。しかし、年が明けて友人と話をした際に、この依頼の話題を話したところ、その友人の元にも同じ人物から同様の依頼が届いていたことが分かった。

 ここで不正をうたがったいちむらさんは、テストの実施日を依頼主に聞いたところ、試験科目と共通テストの時間割がほぼ被っていると判明。不正を確信したが「高校2年生であることは疑っておらず、予備校がやっているオンライン同日模試か何かだろう」と判断した。

 「不正ではない可能性も十分に残っており、その場合むやみに生徒を疑うのは良くない。家庭教師というのは信頼関係が非常に大事」と述懐している。

 そして当日を迎えたが、15日午後2時32分に「今日はなしでお願いします」と連絡が届き依頼は中止に。同日の午前中にあった世界史の試験で先に不正が疑われたため、計画を中止したのではと、いちむらさんは推測している。その後、報道を見て共通テストの画像流出問題に自身が関わっていたことを知ったという。

共通テストの試験日程(大学入試センターの公式Webサイトから引用

 いちむらさんは一連を振り返って「この手口が広く知られてしまうことによって、不正予備軍が不正に走ってしまうことの影響が大きいのではないか」と指摘。家庭教師側の対策としては、生徒側に必ずビデオとマイクをオンにしてもらうことを推奨した。

 この記事に対する反応としては「ITの発達で、生徒だけでも高度な不正ができるようになった」とITの高度化の弊害を指摘する声や「一部の劇場やATMでやってるような電波抑止装置を設置して、外部と通信できなくするしかないのでは」と厳重な対策を提案する意見が上がるなど、物議を醸した。

 NHKなどの報道によると、出頭した女子大学生は「上着の袖にスマートフォンを隠し、動画を撮影、映像を切り取って静止画にして送った。ばれたらまずいと怖くなり、他の科目ではやめた」などと話しているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.