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気がつけばフェードアウト?  ビデオカメラの歴史を振り返る小寺信良のIT大作戦(4/5 ページ)

» 2022年02月07日 08時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

運命の2008年

 デジタルカメラによる動画撮影は、それまでオマケ機能のような格好で搭載されてきたが、2008年にキヤノン「EOS 5D Mark II」が1080/30p撮影をサポートしたことで、流れが変わってきた。

photo EOS 5D Mark II

 当時はライブビューをそのまま動画に保存する程度でしかなく、基本的にオートでしか撮れなかったのだが、それでもテレビ業界でどんどん採用され始めた。フルサイズセンサーによる被写界深度やEFレンズの性能が、これまでのビデオの絵とは一線を画した。

 もちろん、2008年以降もビデオカメラは製品が投入され続けた。同年発売のソニー「HDR-XR500V/520V」は、民生用ビデオカメラとしては初めてGPSを搭載したカメラである。

photo HDR-XR500V

 だが多くの人の関心は、デジタルカメラに移っていった。ビデオカメラはどうしても活躍の場が運動会学芸会など用途が限られるのに対し、デジタルカメラは写真が中心であるため、あらゆる場面での活用が想定できる。

 ここである意味コンシューマー動画は、「成長記録」のためではなく、「アート」へ転換したのである。

 そして成長記録フィールドは、その後スマートフォンに吸収されていくことになる。奇しくも2008年、日本で初めてのiPhone「iPhone 3G」が発売されている。それ以降のスマートフォン市場の成長は、よくご承知かと思う。

photo 日本では販売されなかった初代iPhone(左)とiPhone 3G(右)。いずれも純正アプリではビデオ録画はできず、録画機能を持つようになったのは次のiPhone 3GSから
photo iPhone 3Gを持つ上戸彩さんと孫正義ソフトバンクモバイル社長(当時)

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