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コロナ禍にTwitter上で拡散したデマツイート、東大と和歌山大が調査 社会や個人への影響度を分析Innovative Tech(2/3 ページ)

» 2022年02月08日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

 次に、11種類の各主題に対して、人々に与える影響度合いの評価を行う。しかし、同じ情報でも見た人によって影響度合いは異なるため、定量的に測ることが難しい。

 そのため今回は、Twitterアカウントを持つ20代の26人に、個人に対する影響度合いと社会一般に対する影響度合いを区別した上で、重要さに関する4項目(経済状況/身体的健康状態/精神的健康状態/人間関係)に対する影響度合いを「悪い影響」と「良い影響」を対にした7段階のSD法により回答してもらった。

 今回は、重要であるからツイートするという前提のもと、重要さを人々に与える影響度合いとした。以下が個人に対する影響度合いと社会一般に対する影響度合いの2種類の評価結果となる。

個人に対する影響度合いの評価結果(中央値)
社会一般に対する影響度合いの評価結果(中央値)

 分類した11種類の主題について、それぞれの特徴を確認し整理する。

  • 対策として効果があるものに関する主題を扱った流言(T1、T2)例えば「26〜27度のお湯が効果がある」「マスクに梅干しの果汁を塗る」「ハイターでうがいをする」「次亜塩素酸ナトリウムを飲む」など。飲食物としては「お湯」「牛乳」「納豆」「アオサ」「カレー」などの内容を含んでいた。
  • 感染源や感染経路に関するもの(T3、T4)。感染経路に関する流言には、飲食物(バナナ、刺身など)や、動物(犬、猫、蚊など)、物(紙幣、印鑑など)から感染するといった内容や、空気感染、5G回線や電波などを介するといった内容があった。
  • 対策として効果がないものに関する主題を扱った流言(T5、T6)。効果がない手段や飲食物として具体的にあげられた内容としては「アルコール消毒」「マスク」「ワクチン」などを含んでいた。
  • 感染症の流行に伴う社会的な影響に関するもの(T7、T8、T9)。トイレットペーパーやティッシュペーパーなど、紙製品に関する内容が大部分を占めていた。医療崩壊や都市封鎖に関する流言については、具体的な地名を含むものや、地名を含まずにその内容のみを扱うものなどを含んでいた。
  • 感染者に関わるもの(T10、T11)。感染源に関する流言や医療崩壊や都市封鎖に関する流言と同様に、都道府県名や国名など具体的な場所を含むものと、そうでないもののどちらも含んでいた。

 これら11種類の主題に対し、個人に対する影響度合いと社会一般に対する影響度合いの2種類の評価を実施した結果、「都市封鎖される」が個人の経済状況と社会一般の精神的健康状態に対し、特に悪影響を及ぼす内容であると評価される傾向が見られた。

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