ヤマー そのAI Music、Appleは何に使っていくんでしょうかね。
マツ まず考えられるのが、iMovie、Clips、Final Cut ProのBGM自動生成機能強化です。
ヤマー 利便性が超あるやつですね。ライセンスクリアされた楽曲を探すのって骨折れますから……。
マツ 自動作曲はないですが、ビデオの長さに合わせて楽曲を伸縮させる機能はClipsから搭載しているんです。有名な作曲家の楽曲も含めて。
ヤマー あ、これiPhoneのiMovieで動画編集した時に気付きました。プリセットのBGMを使ったんですが、自動で曲の長さが変わったんですよ。この機能だったんですね。
マツ 映画「DUNE」で素晴らしい音楽を作り上げたハンス・ジマーの音楽(Clipsに1曲プリセットされている)も使えるという。
ハンス・ジマーに、「この映像にきっちり合う曲にしといてくれ。きっちりとだ」と無茶振りできるはいいものだ。この記事ではこう書いてますね(自分が)。
ヤマー ハンス・ジマーを自由に操れるw
可変BGM機能は最近Adobe Premiereにも搭載されましたね。でも、自動作曲はその先を行くものになりそうです。
マツ そうなりますね。もう1つ、これはどうかなとは思うけど、GarageBandやLogic Proへの自動作曲機能追加。
GarageBandは音楽スタイルの適用は進んでるだけど、AI利用についてはコンサバティブで、完全自動演奏はドラムだけなんですよ。
ヤマー なるほど、そっちのニーズもありそうですね。ちょっと前にソニーも自動作曲ソフト出してましたね。
マツ ソニーCSLの「Flow Machines」ですね。
でも、Flow Machinesは完成形を作ってくれるというわけではなく、その意味では無料で使えるOrpheusの方が先駆者です。
ヤマー この曲、Orpheusで作曲したものなんですね。
マツ Orpheusは歌詞の自動生成と歌声合成もやってくれるので、未体験の人は一度試してみるといいと思います。投稿された歌詞を見たら、自分の失恋体験を赤裸々に語った歌とかあって……。
ヤマー え、すごいww
自動作曲ツールとしてはOrpheusなどの先行もあるわけですね。となると、AI Musicの強みってどこなんでしょう。
マツ それぞれのジャンルの音楽を学習させるところが強いと言ってますけど、それは他のAI作曲もやってることだしなあと。Orpheusは確率モデルですけど。
それよりは、Appleの製品・サービス群に組み込まれたということの方が大きな意味を持つと思っています。できることの影響が大きすぎる。
ヤマー なるほど、話を聞くに音楽を生成させる柔軟性の良さがAI Musicの強みだと感じさせますよね。聴いている音楽に合わせた広告とか、ここは妄想ですが、おそらくiMovieとかで編集しているシーンにマッチしたBGMを自動作曲できるようになったり。いろんなソースから調理できそうな。
マツ その場その場に合った曲を、好きな歌手、好きな演奏と歌詞で作り出すような未来がSF作家・野尻抱介さんの連作集『南極点のピアピア動画』に登場しているんですが、まさにそれが実現するかもしれないという。そのためのプラットフォームを持つとしたら、iPad、iPhone、Apple Music、Apple Watchを持つApple最強じゃないですか?
ヤマー いろんな想像できますよね。動画やPodcastの自動生成BGM以外にも、Apple WatchやiPhoneなどのさまざまなセンシングデータを基に環境音楽を自動生成して、マインドフルネスに応用するとか。私生活を快適に過ごすための音楽を、完璧なパーソナライズしたものを提供できる可能性もあると。
マツ そう。音楽を大量に消費されるものから個人のものに戻すのがAIだというのはいいんだか悪いんだかですね。
ヤマー アーティストが作り出す音楽はこれからも不滅ですけど、それとは違う今まで音楽が入ってこれなかった分野に、パーソナライズされたものを提供しようとするってのは試みとしては期待できますね。
もちろん今話しているものはただの妄想ですがw
マツ 今でも多くの人はSpotifyやApple Music、Amazon Musicでレコメンドされる音楽を聴いているわけじゃないですか。その意味ではあまり変わらないかもですね。
ヤマー う、それは否定できない……w
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