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勉強だけではないITへ コロナ休業の学校と子供たちの課題小寺信良のIT大作戦(1/2 ページ)

» 2022年03月16日 08時13分 公開
[小寺信良ITmedia]

 子供たちの学校生活が新型コロナウイルスの影響を受けるようになって、2年が過ぎた。われわれは過去6回の「波」を経験してきた……。というかまだ第6波のまっただ中である。これまでの「波」を振り返ってみると、5月GW明け、夏休み中、冬休み中と、子供の休みとリンクしていることが分かる。そしてこの第6波は冬休み中の波が長期化したものであり、このままいくと5月GW空けの第7波とつながってしまう可能性もある。

 今回の第6波のように長期化していると、休み期間中ではなく、学期の間でもクラスに感染者が出たなどの事情で、学級閉鎖になるケースが多発している。初期の頃は感染者が出るたびに学校全体が休校になっていたりしていたが、最近は学級閉鎖や学年閉鎖などで対応し、なるべく学校全体が休校にならないようにしているようだ。筆者の子供が通う公立中学校も、第6波になってからは時折学級閉鎖になったとは聞くものの、休校にまではなっていない。

 学級閉鎖や休校となれば、自動的にその期間は自宅学習となる。ちょうど文科省が実施した令和3年度(2021年度)の「全国学力・学習状況調査の結果」で、学校の臨時休業と児童生徒の学習状況や学校の取り組みを調査してあった。自宅学習の方法や、学校からの連絡手段などは何が主流なのだろうか。

休校時の学習

 調査日時は2021年5月27日とあるので、第4波の終わり頃の調査ということになる。新型コロナウイルスの影響による休業期間を見てみると、だいたい40日から70日の間に集中しているようだ。これは2021年4月以降の全休業期間が対象なので、2021年2月末から長いところでは5月末まで続いた、全国一斉休校の期間も一部含まれる。

photo 地域一斉の学校の臨時休業等の期間

 もともと春休みは課題などはあまり出ないものだが、学期内に休みが出れば当然家庭で学習することになる。臨時休業中に家庭学習でどのような課題を課していたか、という問いに対しては、「学校作成のプリント等の配布」が最多となっている。

photo 休業期間中の家庭学習

 これは普段から家庭学習用として用意してあったものということだろう。次いで「教科書に基づく学習内容の指示」が続くが、要するにこの2つがセットで、自分で教科書読んでプリントやってこい、というタイプの課題であったことが想像できる。

 一方で「同時双方向型オンライン指導を通じた学習」を実施した学校は、全校実施、学年学級での実施を合わせても10%に届かないという結果となっている。GIGAスクール構想にて子供たちに1人1台学習端末が配付されて1年以上が経過した段階で、これはさすがに少ないように思える。

 ただ、これはいつ休業になったかにもよるだろう。例えば春休みから連続して休校になったケースでは、クラス替えもあったのに新学期から一度も登校せずいきなりリモート授業ができるかというと、それは難しいだろう。

 また端末を家庭に持ち帰るということ自体が許可されていなければ、自宅学習で利用はできない。その端末の家庭への持ち帰りも、調査されている。毎日持ち帰らせて活用している学校は、小学校で3.4%、中学校で6.0%と、かなり低水準であることが分かる。「ときどき持ち帰らせる」を含めても20%台だ。

photo 端末の家庭利用頻度

 そう考えると、「同時双方向型オンライン指導を通じた学習」が10%程度というのは、妥当な数字である。

 今回の調査には現われていないが、筆者の子供が通う中学校では、今年度から急に学級閉鎖になった方が、リモート授業で代替というケースが多く見られた。もともと授業をやるつもりだったものを、そのまま先生が学校から無人の教室で授業をするといったぐあいに、スポットで入れ替えるほうが実施しやすいという側面があるように思う。

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