3月23日現在、グローバルのビットコインノード稼働数を見ても、直近で大幅な増減は発生していない。
また、ノード分布もウクライナ危機の前後で大きな変化は見られない状況にあり、ロシア国内のビットコインノードも、その多くが現在も正常に稼働している。
こうした事情から、ブロックチェーン技術者の間ではロシアのネット遮断を懸念する声はあまり見られていない状況にある。
ここまで解説してきた通り、ロシアのネット遮断はロシア国内でのブロックチェーン活用に機能不全をもたらす恐れはあるものの、ロシア以外のブロックチェーンネットワーク自体に大きな影響を及ぼすものではない。
しかしながら、2021年8月の時点でロシアは世界のハッシュレートの11.2%を占めており、ビットコインのマイニング量では米国とカザフスタンに次ぐ3位となっている。
この規模のマイニングリソースがグローバルネットワークから隔離されれば、暗号資産マーケットには一定の影響が生じるだろう。また、ロシア国内に拠点を置くサービスの利用者にとっては資産を失うリスクが伴う。
短期的にはディフィカルティ(マイニング計算の難易度)に対してハッシュレートが追いつかなくなるので、送金の遅れなどが生じる可能性がある。加えて、マイニングされる暗号資産の総量が若干減るので少しインフレ圧がかかると予想される。
ただし、2週間に一度、マイニングの難易度を決める「ディフィカルティ調整」が実施されるため、影響自体は短期で収まると考えられる。
加えて、日本への影響については、ロシアの取引所やウォレットを使っているユーザーがサービスレイヤーで利用できなくなる可能性がある程度だろう。
とはいえ、ビットコイン以外の暗号資産でも、同様の議論が出る可能性がある。投資家にとっては今後も注視が必要なトピックとなるだろう。
(執筆:藤本賢慈/監修:森下真敬)
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