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TTSの発展は「誰でもオーディオブック」の世界を開くか 無料で商用利用もできる「VOICEVOX」の実用度小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2022年03月28日 10時45分 公開
[小寺信良ITmedia]

 オーディオブックは、米国では人気の高いコンテンツだ。

 オーディオブックとは、底本となる書籍をプロのナレーターが朗読したもので、小説やビジネス書など数多くのコンテンツがある。とはいえ、丸々本1冊分なので、全部朗読で聞くと10時間を超えるものも少なくない。

 本は読みたいが、時間があるのは運転中だけ、みたいな人たちのニーズが高い。米国ではサンフランシスコやロサンジェルスのような大都市でも、通勤は車だったりする。ある意味、「渋滞のお供」だったりもする。

 日本では2022年1月27日より、Amazon傘下のオーディオコンテンツサービス「Audible」が、会員向けにオーディオブックの聴き放題サービスを開始した。これまでは月額1500円を払いつつも、聴けるオーディオブックは毎月1本、それ以上は個別課金されるというスタイルだったが、月額料金はそのままで12万本以上のオーディオブックが聴き放題となった。

photo Amazon傘下のAudibleが聴き放題に

 いわゆるオーディオブックのサブスク化である。これにより、日本でもオーディオコンテンツとして盛り上がりを見せるか、と期待されているところだ。

 普段からラジオやポッドキャストを聴いているという人は、音声のみの情報入力に対して慣れているところではあるだろうが、これらのコンテンツはいわゆる「トーク」が中心である。一方オーディオブックは、元が小説だったりするので、強いていえばラジオドラマに近い。

 ただ、ナレーター1人の朗読なので、音楽や効果音が入るわけでもないし、役柄によって人が変わったりもしない。それでもナレーターによる感情や抑揚があり、やっぱりドラマ感はある。

 その一方で、ビジネス書やサイエンス本、今ご覧のようなコラムのような文章は、プロのナレーターが読むのが正しいのか、という問題が起こる。いやもちろんアマチュアに読んでもらうよりは全然良いのだが、なんとなくそのプロの抑揚ゆえに、たとえばサイエンス本を聴いていても、「これフィクションなのかな?」と、聴き手の方が何を聴いてるのか分からなくなることがあるのだ。

 つまりオーディオブックは、何から何までプロのナレーターが読むのがいいわけではなく、モノによってはニュース読みのアナウンサーのように、抑揚や感情がない方がいいものがある。

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