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看板や音も再現した「バーチャル秋葉原」公開、アキバ文化を世界に発信 「オンラインメイド喫茶」も

» 2022年04月04日 20時20分 公開
[ITmedia]

 東京・秋葉原の観光情報サイトを運営するAKIBA観光協議会(東京都千代田区)と大日本印刷(以下、DNP)は4月4日、秋葉原の街を再現したメタバース「バーチャル秋葉原」を公開した。アニメやゲームの情報発信やグッズ販売を行う場として提供し、海外からも集客する考え。

「バーチャル秋葉原」。よく見ると秋葉原にある特徴的な看板も再現している

 秋葉原のメインストリート「中央通り」の万世橋から神田明神下交差点までのエリアと「神田明神」をバーチャル空間に再現した。許諾を得て「オノデン」など実際にある看板を用意したり、場所によって電車が通る音や信号機の警告音も聞こえたりする遊び心も。今後は通称「ジャンク通り」や駅前広場など街を拡張する計画だ。

 中央通りの上にギャラリースペースを設けるなど、バーチャルならではの空間活用も特徴。DNPの開発チームは街をデザインするにあたり、「秋葉原からイメージするサイバーな世界観」を半年にわたって検討した。

 「サイバーと言っても映画の『AKIRA』や『トロン』など人によって色々なイメージがある。皆の期待を裏切らない空間づくりに特に力を入れた」。看板や観光案内所、展示会場などリアルな街の機能を入れたこともポイントだという。

中央通りの上にある「ギャラリースペース」は特にサイバーなデザイン
「オンラインメイド喫茶」の看板

 バーチャルな店舗では来場者をECサイトやリアル店舗へ誘導する仕組みも作っている。例えば「オンラインメイド喫茶」は「秋葉原に実際にあるメイド喫茶で働いている方が、日常のルーティンをオンラインで配信する」というコンテンツ。メイド喫茶そのままではなく、オンラインの特性に合わせて活用した。目的は「リアル店舗に来店してもらうこと」だ。

ライブ会場

 参加者はアバターを操作して買い物をしたり、ライブに行ったりと様々な楽しみ方ができる。ウォッチパーティー(他の参加者と同じ映像を見る)などのイベントも多い。

 バーチャル秋葉原に行く方法は4月4日の時点ではWindows版のアプリのみ。これはバーチャル秋葉原のベース空間をDMMが提供する「DMM Connect Chat」の「ルーム」として作ったため。DNPは4月末にスマートフォンやPCのWebブラウザで動作するブラウザ版を提供するとしている。

 なお現在開催しているバンダイナムコエンターテインメントの「電音部」コラボ企画については「多くの人に見てもらいたい」というクライアントの要望から先行してWebブラウザ版を提供した。このためPC版からはアクセスできない。

大勢で同じ映像を見る「電音部」コラボのウォッチパーティー

二次創作の拠点にも

 DNPは“おたく文化”の発信地として知られている秋葉原を世界中どこからでもアクセスできる仮想空間とし、海外のアニメ/ゲームファンも呼び込む考え。北米のアニメファン交流サイト「MyAnimeList」(マイアニメリスト)や海外のクリエイターとファンが集う「MediBang」と連携して海外からの集客を図るという。

 一方でアニメなどIP(知的財産)を持つ企業と協力し、そのIPを使って外部のクリエイターによる二次創作を可能にするビジネススキームを作った。クリエイターの作品をNFT(非代替性トークン)化してバーチャル秋葉原内の専用エリアで展示販売するなど「健全な創作ビジネスの循環を実現する」。

 今後は様々なIPを持つ企業とのコラボレーションを予定している。10日から新進気鋭のクリエイター21人によるアート展「昭和百年展」を開催する他、4月中旬以降に映画「竜とそばかすの姫」のBD/DVD販売記念企画を実施予定。また神田明神の歴史を紹介するVR空間も公開するとしている。

クリエイター作品を展示するエキシビジョンホール

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