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質問に答えるだけで著作権契約書が作れるWebフォームが話題 文化庁が作成、その狙いは?

» 2022年04月13日 12時19分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 「質問に回答していくだけであら不思議、著作権契約書ができる」──そんな口コミで話題になっているのが、文化庁が作成したWebフォーム「文化庁著作権契約書作成支援システム」だ。必要な項目を入力・選択するだけで、著作権などに関する契約書のひな型を作成できるという。

「文化庁著作権契約書作成支援システム」

 使い方は、まず自身がクリエイター(権利者)かクリエイターと契約したい人(利用者)かを選ぶ。その後、論文やイラスト、楽曲、動画、写真、演劇などの6種類の項目から著作物を選択する。権利者ならば依頼内容を、利用者ならば利用場面をそれぞれ選ぶことで、必要な契約書候補を提示する。

選んだ選択肢から必要な契約書候補を表示する

 提示した契約書候補で問題がなければ、必要項目の入力画面へ進む。依頼内容や著作物を利用する日時や場所、報酬の額、支払い期限、納入期限、納入形式など、契約書ごとに提示する項目を記入することで、それに基づき契約書のひな型を作成する。完成したものはdocx形式でダウンロード可能で、日本語以外にも英語での出力にも対応している。

「講演、パネルディスカッション、座談会」のひな型では、講演の名称や日時、報酬の額などの記入を求められた
作成したひな型の例。docx形式でダウンロード可能で、日本語と英語に対応

 このシステムの利用者として想定しているのは「著作物の創作や演技・演奏等の実演を職業としない者」と「その利用を職業としない者」、つまり個人同士が契約を結ぶ場合の利用を想定しているという。

 文化庁は「著作物の利用形態は多様化し、一次利用の他に、電子媒体などでの二次利用で用いられる場面が増えている」とし「しかしその一方で、一般の人同士は口頭による契約が多く、その後の多様な著作物などの利用に際してトラブルが発生する場合も見られる」と指摘。

 一方で、「著作権に関する法律や契約実務の知識がない人にとって、契約書を作るのは容易ではないのが実情」(同)とも説明。このシステムを通して、契約書締結のハードルを下げて文書による契約を推進し、著作物などの利用に関するトラブルを減らす狙いがある。

 作ったひな型を使う場合は、作成した内容をよく理解した上で、当事者間で条件を確認、手直しした上で使ってほしいとしている。

 このシステムに対して、Twitterユーザーからは「これはすごく助かるかも」や「イチから作るのはフリーズするから参考になる」「文化庁GJ」など、好意的な反応が多く見られた。

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