3者それぞれの立場でのメタバースの見方はよく分かる。
では、団体を作った側の意図はどこにあるのか? それを考えるには、常任理事である溝畑氏のコメントを聞くのが分かりやすい。
「私はこれまで、五感を大切にしてきました。現場の感動にこだわってきました。そして、人生のテーマは、各地域の魅力を引き摺り出して経済の循環を作ることです。観光庁長官の後、大阪に来ておりますが、そのことを頭に描きながらやっています。そこではデジタル化の流れも意識しています」(溝畑氏)
「このタイミングで協議会を立ち上げるのは非常に意味のあることです。コロナ禍のニューノーマルとはどんなものか、ゼロカーボン社会はどのようなものになるのか、ということで社会スタイルの変革が求められています。そんな中で日本の各地がどのように魅力を発信していけばいいのか。大阪ではデジタル化を念頭において、シームレスな社会の実現に取り組んでいる。大阪万博とIR(統合型リゾート)開業は大きな実証実験の場です。仮想空間を使った観光のチャレンジもしています。リアルとバーチャルの融合もありますが、みんなが協調共生し、循環できる社会を目指して、メタバース協議会がお役に立てれば、と思います」(溝畑氏)
「さまざまな課題はありますが、今こそこの国が1つの分野で突き抜ける、リスクを背負って突っ込んでいく、そういう意味で、これからの観光立国・地方創生、エンターテインメントマーケットの新たな創出など、非常にインパクトのある領域。みんなが参加できるよう、がんばっていきたいと思っています」(溝畑氏)
このコメントを読めばお分かりのように、溝畑氏は明確に観光の立場からメタバースを見ている。すなわち、現実をデジタル世界で再現する「デジタルツイン」を強く想定した団体なのか、という印象も受ける。
初回の参加企業・団体を見ても、観光やパチンコなどに関連する企業の姿が目立ち、会場には総会参加者として、日本バレーボール協会会長の川合俊一氏など、スポーツ業界の関係者も多数見受けられた。会場の雰囲気からも、観光やスポーツで顔の広い溝畑氏が、かなり強いリーダーシップを発揮している様子が感じられた。
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